次、行ってみよう! ザ・ドリフターズが鼻の差で2位に。タレントの徳光正行氏はドリフについて後悔の念を抱く。
「小学4年の時に、地元の茅ヶ崎市民文化会館にドリフが『全員集合』の生中継で来ました。オヤジに『行こうよ』と誘われたけど、『つまんないから行かない。家でひょうきん族見る』と断ってしまった。今、考えたら絶対に見ておかなきゃダメだったのに。その時、オヤジは『ドリフの時代は終わった』と思ったそうです。やっぱり、ビートたけしさん(77)の存在なんですよ。そういう時代の流れだった。でも、大人になってCS放送などで見ると、アドリブが一切入る余地のない作り込んだ笑いの欽ちゃんとドリフはことのほか面白いんです」
「ひょうきん族」登場以前、子供たちの間では、「ちょっとだけよ、あんたも好きねぇ」と絶対に外さない鉄板の〝くしゃみ芸〟を持つ加藤茶(81)と「東村山音頭」「カラス〜なぜ鳴くの、カラスの勝手でしょ」と立て続けにヒットギャグを連発した志村けんにドリフの人気は二分されていた。
「兄の影響で加トちゃん派でした。兄は脱退した荒井注派だったんです。『なんだバカ野郎の荒井注を押しのけてメンバーになった志村は認めねぇ』みたいな。東村山音頭がバカ受けしてる時の加トちゃんが可哀そうで。『加トちゃん本当は面白いのに。なんで志村に遠慮してるんだろう?』と思って見てましたね」(徳光氏)
亀和田氏は荒井脱退の後、爆発的人気となった志村、そして加藤の失速に至った理由を語る。
「ドリフの番組会議に出入りしていた放送作家に聞いた話なんですが、会議は長さん主導で行われ10人ほどいる作家が書いてきたコントを長さんが吟味、改良を加えて採用するかしないかを決める。『それもいいですけど、こういうのはどうですか?』『それはこうした方が面白いですよね』と積極的にネタ作りに参加するのはボーヤ上がりの志村だけ。1つのコントを採用するかどうかに30分、長いと1時間ぐらい沈黙が続く。その間、加トちゃんを含めた他の3人は何も発言しない。なので志村は加入してすぐに番組で重用されたんですよね」
コントにかける熱量の違いか。志村の人気が爆発するのは必然だったのだ。
ハナ肇とクレージーキャッツが3位で表彰台に上った。亀和田氏は「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ系)のショートコントの面白さを語る。
「病院の診察室で足を骨折して横になっている患者(なべおさみ)のところに、花瓶に入った菊の花を持った棺桶職人風の植木等が登場。巻き尺を手に患者の寸法を測るんです。膝を立てて寝ている患者の脚を『真っすぐにしろ』と引っぱたくと患者は痛みで『ヒィー』と声を上げて痛がる。手を動かすなとか、頭の位置がおかしいなどと何度も叩く。その度に悲鳴を上げる患者。植木は『死人が声を上げるなんておかしいよね』と周りの医者や看護婦に話しかけるが、皆怪訝な表情を浮かべるだけ。すると植木が『くくく』と笑って『お呼びでない。お呼びでないね。こりゃまた失礼しました』というおなじみの決め台詞。これを聞きたくて見てましたよね」
レジェンド番組のよさを後世に伝えたい。だが、ほとんど映像が残っていないと亀和田氏は言う。
「60年代、テレビ局はビデオテープが高価だったから上書きしていた。今ユーチューブなどにある映像、10本あるかないかですけど、それは元をたどればすべてハナさんの個人所有ビデオ。ハナさんはオーディオビデオマニアだったので当時数百万円したビデオを持っていた。それが奇跡的に残ってるんですよ」
アッと驚く為五郎〜!
■視聴率王TOP20
1位:萩本欽一(557票)「24時間テレビ」の出演ギャラ、最初に提示された額を「安すぎ」と拒否。どんどん釣り上げて局側が「これ以上ムリです」と言ったところで「全部寄付して」と引き受けた。「これ都市伝説じゃなくて実話です」 (徳光氏)
2位:ザ・ドリフターズ(524票)いかりや長介より3つ年上の荒井注は74年に脱退。その後、天知茂の「江戸川乱歩の美女シリーズ」に出演するなど演技派の役者に転身。静岡・伊東でカラオケボックスの経営を目論むも機材がドアより大きくて断念
3位:ハナ肇とクレージーキャッツ(504票)60年代を代表する伝説のコミックバンド。70年代にドリフ全盛期になると、主要メンバーは俳優としてソロで活躍した。リーダーのハナ肇も「新春かくし芸大会」の銅像役の人としか認識していない層が増えていった
4位:大橋巨泉(473票)トレードマークの黒メガネは実はレンズなしだった。普段は近眼で眼鏡使用だが、テレビ出演ではコンタクトを着用し、わざわざ伊達メガネをかけるのが巨泉流。ライトに反射してレンズが光ることを気にしてのことだった
5位:三波伸介(419票)ハゲヅラにチョビ髭姿の三波が校長役を務めた「凸凹大学校」。人気コーナーはお題を絵とジェスチャーで表現する「エスチャー」で、ずうとるび・江藤博利が毎度爆笑を取っていた。82年、三波の急逝により番組は終了
6位:あのねのね(366票)フジテレビの「ものまね王座決定戦」の初代司会。が、真骨頂を見られたのは年1度程度、タレントがものまねをしない一般視聴者参加の「発表!日本ものまね大賞」。原田伸郎が天才的なシロウトいじりを発揮した
7位:徳光和夫(351票)「NTV紅白歌のベストテン」「ズームイン!!朝!」など日テレの看板番組の司会。78年から続く「24時間テレビ」には欠かせない顔。競馬&ボートレースに消えた金はナント10億円。水原一平級の筋金入りのギャンブラー
8位:福留功男(315票)「アメリカ横断ウルトラクイズ」の現地司会。その派生番組「全国高等学校クイズ選手権」ではプロデューサー的な立場で番組制作に携わった。アニメ「美味しんぼ」では中松警部の声を違和感なく演じる芸達者でもあった
9位:鈴木健二(296票)「歴史への招待」「クイズ面白ゼミナール」など博覧強記のよどみないしゃべりで〝NHKの視聴率男〟と呼ばれた。82年出版の著書「気くばりのすすめ」はミリオンセラーに。兄は映画監督の鈴木清順。今年3月に95歳で死去
10位:ジェリー藤尾(245票)戦後の歌舞伎町を拠点とした愚連隊の元用心棒で、武勇伝も数多いジェリーが妻・渡辺友子と共に、バラエティー番組「笑って!笑って!!60分」の司会という意外性! 小松政夫の「ズンズンズンズン~、小松の大親分」も流行った
11位:愛川欽也(241票)/12位:久米宏(237票)/13位:桂三枝(184票)/14位:笑福亭鶴瓶(172票)/15位:前田武彦(134票)/16位:伊東四朗(119票)/17位:小松政夫(103票)/18位:土居まさる(97票)/19位:せんだみつお(83票)/20位:高島忠夫(80票)