ウクライナ戦争の影響で現在は西側諸国との就航がなくなったロシア。ソ連時代は国営だった同国最大のアエロフロート・ロシア航空も就航都市の数を減らしたが、それでもJAL、ANAの日本の二大エアラインよりも多い。
航空情報サイト「Fly Team」で調べたところ、24年5月時点のアエロフロートの国際線の路線数は世界18カ国92路線。これに対してJALは20カ国57路線、ANAも21カ国62路線に過ぎないのだ。
「50カ国以上に就航していた戦争前と比べれば半分以下になりましたが、西側諸国への乗り入れができなくても旧ソ連圏の国々をはじめ、アジアや中東などに充実した路線網を築いてます。特に開戦後はモスクワ以外の地方空港からの路線やリゾート路線などが次々と新設されています」(航空業界誌編集者)
実際、東南アジア有数のリゾートのプーケット(タイ)との間には6路線もある。同国の首都バンコクにも5路線が就航しており、計11路線は中国の13路線に次いで多い。
「タイはロシア人がビザなしで最大90日滞在できるから人気なんです。しかもビザの更新も容易なため、兵役から逃れるようと長期滞在している方も多いと聞きます」(同)
日本はもちろん、EU諸国や北米とのフライトがすべてなくなったので機材には余裕があり、余っている状況とも言われている。そもそもアエロフロートは世界有数の路線網を持っていた航空会社。ソ連時代末期には保有機材数、従業員数が世界最多だったことから“世界最大の航空会社”と呼ばれた時期もある。
「日本からはモスクワ乗り継ぎの手間はありましたが、ヨーロッパ方面に行くには中国の航空会社並みの格安運賃で行くことができたんです。だから、日本の旅行者からも重宝されており、運航再開を待ち望む声も少なくありません」(同)
1日も早く戦争を終結してもらい、日本を含む、西側諸国に再就航してほしいところだ。
※写真はアエロフロート・ロシア航空