内閣支持率が危険水域から抜け出せずにいる岸田政権。当の本人は「続投」に向けてやる気マンマンだが、自民党内では有力議員たちが「ポスト岸田」に名乗りを上げて‥‥。その裏では、総理大臣を経験した重鎮たちが“推しメン”を見つけては推し活に励み、後方支援で政局の鍵を握ろうとしていた。
衆院3補選(4月28日投開票)で不戦敗も含め全敗したあと、さる自民党のベテラン議員はこう明かした。
「岸田文雄総理(66)は茂木敏充幹事長(68)に見切りをつけて、森山裕総務会長(79)に乗り換えるかもしれない」
これまで岸田政権の重要方針の多くは岸田総理、茂木氏、麻生太郎副総裁(83)の3者会合で決められ、もっぱら「三頭政治」と呼ばれてきた。しかし、岸田総理と茂木氏は修復不可能と言われるほど関係悪化。不仲の原因は、茂木氏が水面下で秋の党総裁選に出馬する意欲をみなぎらせていること。今では岸田総理が「俺を追い落とそうとしている」と、いら立ちを隠せなくなっているのだ。
森山氏との幹事長交代説も聞こえてくるが、茂木氏は馬耳東風とばかりに“不得意”な仲間作りに奔走している。
「衆院議員宿舎で安倍派の中堅・若手議員が部屋で飲んでいると聞けば、茂木氏はウイスキーやワインを持参して飛び入り参加。別の日には岸田派や二階派の議員にも声をかけて、茂木支持に取り込もうと親睦を深めています」(政治部記者)
茂木氏といえば、後輩議員の面倒見が悪く、居丈高な態度が鼻につくなど評判はイマイチ。悲願の総理大臣になるために“キャラ変”作戦に出たようだ。それでも効果は限定的のようで、作家で政治ジャーナリストの山村明義氏はこう話す。
「若手議員に聞いてみると、雑談などざっくばらんに話した後、長居はせずに帰るそうです。人心掌握に力を注いでいるのはわかるのですが、『何しに来たんだろう』といぶかる議員もいました。5月19日配信のネット番組で総理への意欲を聞かれ、『総理になりたいわけじゃない。ただ、総理になってやりたい仕事がある』と発言。本音はやりたいのに、茂木流のもって回った言い方をするから、全然伝わらないんです」
若手に擦り寄るのは、かつての派閥の長としての焦りがあるのかもしれない。裏金事件後に小渕優子選挙対策委員長(50)らが退会し、茂木派は44人まで減少していた。そんな中、「数」を確保するための心強い味方は麻生氏だ。
「4月に米国のトランプ前大統領(77)と会談していますが、『日本には岸田総理だけではなく、茂木もいると伝える』と、事前に約束していました」(政治部記者)
これまでも、会食のたびに麻生氏は次期衆院選の候補者選びで「敵は作るな」と茂木氏に助言し、“推し活”をしていた。そんな麻生氏の狙いについて、政治評論家の小林吉弥氏はこう指摘する。
「岸田総理と良好な関係ですが、退陣した場合に備え、キングメーカーとして影響力を残すために茂木氏と深い関係を構築しています。茂木氏にとっても、国会議員を集める実力不足は否めず、麻生氏に頼るしか選択肢がありません」
それでも、永田町は一寸先は闇。麻生氏の「推し活リスト」には別の候補者の名前も刻まれていた。
(つづく)