函館イワシ漂着問題で英紙が「悪質」報道 SNSでは「Fukushima water」が拡散

 北海道函館市の海岸にイワシが大量に打ち上げられた問題で、12日から重機を使って回収作業が始められた。漂着した約1100トンのイワシを、1日40トンずつ回収し15日間で終了する予定。回収後の焼却処分に追われ大わらわだ。

 そもそも北海道では、福島第1原発の処理水放出で中国が海産物の輸入をストップしているため大迷惑をこうむっているのだが、今度はイギリスのタブロイド紙が勝手な記事で風評被害を広めようとしたものだから、弱り目に祟り目状態となっている。

「イギリスのタブロイド紙『デイリー・メール』のWEB版がこの件を取り上げ、『福島の処理水放出3カ月後に大量の魚が打ち上げられた』と思わせぶりな見出しで報じたのです。記事には函館と福島の位置関係を示す図も掲載されており、処理水放出と関連させる“意図”を感じざるを得ません。それどころか同紙のSNS動画には『核汚染水』というナレーションまで入っており、水産庁が『憂慮する事態』と異例のコメントを出す事態となりました」(全国紙記者)

 この英報道をきっかけSNS上には「Fukushima water」というワードが続出。「福島の放射性物質を含む処理水が原因かもしれない」「ゴジラが現れる」「次は人間にも死者が出るだろう」などと、根拠のない書き込みが世界中に拡散したのである。

 それはやはり中国でも同じで公式メディアに極端な偏向報道は見られないものの、「原因不明」と伝えて思わせぶりに報じている。

「バイドゥではこのニュースが人気ニュースの上位に入り、あらゆるメディアがこぞって転載しています。動画サイトでも日本のニュース映像を大量に流していて、もちろんそれらニュースのコメント欄やSNSには『やはり汚染水のせいで』といった書き込みであふれています」(前出・全国紙記者)

 今回のデイリー・メール報道は、中国・韓国で処理水放出批判が高まっているということも併せて報じているくらいなので、極めて恣意的。なんとも余計な“火つけ”をしてくれたものだ。

(猫間滋)

ライフ