「ブームの終焉」は国際的傾向!? 日中で唐揚げ専門店が続々と倒産&閉店している

 12月7日、帝国データバンクは、唐揚げ専門店の倒産が2023年11月までに22件発生し、過去最多となったと発表した。日本の唐揚げブームの終焉を強く感じさせるニュースだったが、実はお隣中国でも唐揚げ店が大量閉店していることが明らかとなった。

 中国で閉店が相次いでいるのは、5月に東京・高田馬場に1号店がオープンし、日本初上陸も果たしている大判フライドチキンが人気のファストフードチェーン「正新鶏排(ジェンシンジーパイ)」だ。同チェーンは2000年に上海で誕生すると、駅前や学校の近くなどにテイクアウトの小規模店を出店し、若者から大人気となっていた。

 21年には中国国内だけでおよそ2万5000店舗を出店し、「ケンタッキーフライド・チキン」の約3倍、「マクドナルド」の約7倍の店舗数になったと話題になった。しかし、中国の調査会社が調べたところ、現在の正新鶏排は1万1000店にまで減少しているといい、実に1万4000店舗あまりが閉店していることが明らかになったのだ。

「中国でいうとコーヒーチェーン『ラッキンコーヒー』もそうですが、小規模な店舗でテイクアウト販売のみなので、最小限の設備で済むこともあり、参入障壁が低く、急激に店舗を増やすことが出来ました。しかし、その一方でどうしても店員の教育が追いつかず、商品のクオリティが下がるという悪循環になりやすかった。これが、急失速を招く原因になっていると考えられます。さらに、正新鶏排はフランチャイズ加盟店に対し、3年ごとの店舗改装など、かなり強気な要請をしていたようで、不満がたまってやめてしまう加盟業者も少なくなかったようです」(中国事情に詳しいライター)

 隣国の事情はさておき、日本における専門店の倒産の原因には、原価が高騰しても値上げがしづらいことや、冷凍食品やスーパーの惣菜と比べて価格が高いことを挙げる専門家もいる。

 とはいえ、ニチレイフーズの調査によれば、唐揚げは「好きなおかずランキング」で4年連続1位だ。唐揚げそのものの人気は相変わらず根強いだけに、「ブームの終焉」と一括りにせず、専門店の捲土重来も期待されるのである。

(小林洋三)

ライフ