国連の推計によると、イスラエルの空襲によりガザ地区で死亡した女性と子供の数が1万人を超え、早くも、昨年2月に勃発したウクライナとロシアの戦争で犠牲になった女性と子供の数の2倍に達したという。現在は、人質の解放と収監中のパレスチナ人の釈放を交換条件に戦闘が休止されているが、イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスの壊滅」を掲げていることから、いつ民間人の命を奪う大規模攻撃が再開されるか見通せない。
イスラエルの無差別的攻撃には「さすがにやり過ぎだろう」という反応が大勢を占めるようになり、世界中で「反ユダヤ主義」が拡散。英ロンドンでは11月26日に5万人規模の抗議デモが行われ、アメリカでもFBI長官が上院の公聴会で「(反ユダヤ感情が)歴史的な水準に達しようとしている」と、不穏な事態が発生する可能性があるとして警告を発していた。
Xのオーナーであるイーロン・マスク氏も「ユダヤ人が白人への憎悪をかきたてている」
「Xへの広告出稿を見合わせるとされたのは、AppleやIBM、ディズニー、パラマウントといった大手ばかり計200社。最大7500万ドル(約112億円)の広告収入が吹き飛ぶ可能性があるとされていました」(経済ジャーナリスト)
マスク氏がツイッターを買収した直後に広告が減り、今年4月からの5週間で広告収入が前年比で59%減って8800万ドル(約123億円)だったという報道があるので、今回の広告取り止め騒動でほぼ1カ月分の広告収入が消失することになる。つい最近もフランス・パリの市長が、現在のXは偽情報や反ユダヤ主義、あからさまなヘイトに溢れた「世界規模の下水道」だと吐き捨て、Xを退会したばかりだ。
逆風にさらされるマスク氏だが、やはりやられっぱなしではなかった。11月27日にイスラエルを電撃訪問するという直接行動に出たのだ。現地ではネタニヤフ首相ら政界中枢が彼を厚く迎えいれたという。
「イスラエルのヘルツォグ大統領はマスク氏に対し、
スターリンクは、ウクライナの戦争でもマスク氏がウクライナ側に無償提供して、ウクライナのネット通信環境が途絶えることなく作戦に寄与したことで知られる。広告の落ち込みのピンチを救ったのは、通信インフラだったかもしれない。
(猫間滋)