前巨人・中田翔の新天地がなかなか決まらない。一時は「中日入りが濃厚」とも伝えられたが、具体的な動きは聞かれない。なぜか。その舞台裏が見えてきた。
「中田に興味を持つ球団は少なくありません。でも、監督がコメントを出したのは中日だけ。指揮官がコメントを出すということは、内定と捉えてもおかしくはないんですが…」(ベテラン記者)
千葉ロッテ、東北楽天なども候補に挙がったが、立浪和義監督は「WBCでも一緒にやってますし、今でも自分は親しい関係にあるとは思います」と語っていた。水面下でのやり取りは続いているのかもしれないが、すんなりと行かない事情もあるという。
「中日には補強の優先順位があるのです」(地元メディア)
11月24日には中島宏之(前巨人)、上林誠知(前ソフトバンク)、山本泰寛(前阪神)、板山祐太郎(前阪神)の4選手の獲得が発表されたが、いま、立浪監督が注視しているのは新外国人選手だという。
ドミニカ共和国で開催されているウインターリーグに大塚晶文投手コーチらを派遣しているのは既報通りだが、
「芳しい報告はないようです。これは!と思う選手がいても、メジャースカウトに先を越されているようで…」(関係者)
そうした状況で気になるのが、「1年前の恋人」の動向だ。
「巨人のブリンソンが自由契約になりました。立浪監督は昨年、『ブリンソンを狙っていた』と発言し、それが叶わなかったのでアキーノに切り替えた経緯があります。ブリンソンは走塁ミスなどもありますが、守備範囲の広さ、スピードは一級品です」(前出・同)
ドミニカのウインターリーグで好選手が見つからなければ、「ブリンソンに切り替える」との情報も出始めた。「2年越しの恋人」になるわけだ。そのブリンソンが巨人からもらっていた年俸は1億3000万円(推定)。今季、中日はアキーノに1億6800万円を支払った。ブリンソンにすれば、「最低でも巨人時代と同じ。できればアキーノと同じくらい…」の心境だろう。
若く、ハングリー精神に溢れた好選手をウインターリーグで見つけようとしたのは、低年俸で契約できると踏んだからだ。ブリンソンに切り替えたら、その時点で予算オーバーとなる。そうなる可能性が出てきたので、中田とは具体的な交渉に入れないというわけだ。
「中田は出場機会を求めて巨人との契約を途中破棄しました。お金の話は二の次ですが、中田にもプライドがあるでしょう」(前出・ベテラン記者)
12月8日には現役ドラフトも行われる。立浪監督は昨年獲得した細川成也を主軸バッターに覚醒させた。中田の去就が決まるのはさらに遅れそうだ。
(飯山満/スポーツライター)