「気候変動による嵐が原因」だって…大阪万博「SDGs体現のPR船」が座礁で航行不能!

 パビリオン建設のメドがなかなか立たず、25年4月の開幕が危ぶまれている大阪・関西万博。8月2日には経済産業省が、パビリオン建設の受注リスクを軽減する簡易保険を創設、さらには先月まで同省事務次官だった多田明弘顧問を担当トップに据え、局長級の幹部を専従で推進に当たらせるという、省を挙げての異例の体制を敷くことを発表した。

 そんな中、国外で万博のPRに当たっていた「スペシャルサポーター船」の「ポリマ号」が、インドのムンバイ沖合で座礁して航行不能になっていたことが明らかになった。

「ポリマ号は船体上部表面を太陽光パネルで覆った船で、再生可能エネルギーや水素エネルギーで運航するSDGsを体現するものとして、昨年3月にポケモンに次ぐ万博のスペシャルサポーターに任命されていました。そしてこれに先立ち、一昨年の12月に大阪を出航して、昨年3月に前回の万博が行われていたドバイに到着。さらに8月にインドからモルディブに向けて出航したところ、嵐に巻き込まれて座礁。修復のめどが立たず、その後の活動ができなくなってしまったのです」(在阪マスコミ記者)

 ちなみに、このポリマ号の運航は「ゼリ・ジャパン」というNPO法人が行っている。そしてこの法人の理事長は、大阪の洗剤メーカー「サラヤ」の更家悠介氏だ。

「かつて大阪府知事だった橋下徹氏を中心に、自民党府議だった松井一郎氏らで大阪維新の会を立ち上げたのが2010年4月でした。これとほぼ同時に大阪では、関西経済同友会や青年会議所のメンバーが集って『経済人・大阪維新の会』も立ち上がっていますが、更家氏はこの会の設立者で、会長を務めた人物。つまり、維新の財界応援団とも言える存在です。維新と更家氏との距離の近さは、コロナ禍の20年7月に、大阪市がサラヤから消毒薬買い入れの特別随意契約を結んだことで取り沙汰されたことがあります。また今年1月には、万博の民間パビリオン13社の出展場所が決定されましたが、パナソニックなどの大企業、電気事業連合会といった業界団体が並ぶ中、ゼリ・ジャパンの名前もありましたね」(前出・記者)

 ゼリ・ジャパンでは、ポリマ号の嵐による座礁原因を「気候変動の影響」と説明している。SDGsを体現する同船が、身をもって地球の環境問題を訴えたということか…。

(猫間滋)

ライフ