“頼みの綱”だったウンベルト・メヒアの長期離脱は避けられないようだ。そこで急浮上してきたのが、根尾昂の緊急昇格案と「大野雄大の復帰はまだか?」という声だ。
メヒアに異変が生じたのは、8月2日の阪神戦だった。先発投手として試合の主導権をつかんでいたが、4回表のマウンドに姿を現したのは、中継ぎの藤嶋健人。その後、計6人のリリーバーで逃げ切った。
「張りがあるということで…」
試合後、立浪和義監督はメヒア交代の理由をそう説明した。
「立浪監督は淡々とした口調で、メヒアが右胸付近の違和感を訴えたことを話しました。あっさり教えてくれたので、たいしたケガではないと思ったんですが。翌3日に検査したら、右大胸筋損傷と分かり、今後は医師とトレーナーのもとでリハビリを行うそうです」(地元メディア)
球団は復帰時期を明確にしていない。しかし、「球団が教えない」は「重症」と見るべきだろう。これで、先発投手が1人足らなくなったわけである。
「ファームで先発として登板している中に根尾がいます。普通に考えたら、根尾の昇格でしょう。仲地礼亜が昇格したとき、根尾との二択だったとも聞いています」(同前)
だが、すんなりとは決まりそうにない。根尾は先発投手として勝ち星は挙げているものの、カウント3ボール2ストライクまで行くケースが多く、変化球でストライクが取れる日とそうでない日がはっきりしている。そんな不安定ぶりは地元ファンにも伝わっている。
また、立浪監督が「先発投手として大きく育てたい」と言った手前、根尾を一軍で先発登板させれば、今季終盤戦は勝利を追うのではなく育成を重視していると受け取られかねない。
「育成重視となったら、バンテリンドームは空席だらけになりますよ」(関係者)
左ヒジにメスを入れた大野雄大はキャッチボールを再開させている。傾斜で投げることも行っており、8月下旬か9月に実戦復帰し、どこにも痛みがなければ即一軍と言われているが、「無理をさせるべきではない」との意見もある。
根尾と大野、どちらを昇格させるべきか? 大野には気の毒だが、実績のあるベテランが投げてくれるのなら、ファンは「最下位脱出を諦めていない」と捉えてくれるだろう。中日首脳陣のなかには根尾を推す声もあるそうだが、あとは立浪監督の判断次第だ。
(飯山満/スポーツライター)