中日・根尾昂の「投手転向」が決定した。リーグ戦再開の6月17日から登録も野手から投手に変更される。
立浪和義監督は根尾との話し合いを重ね、前向きな言葉も得て決断したと言うが、球団OB、地元ファンは批判的だ。圧倒的な支持率を誇っていた立浪政権を揺るがしかねない状況だ。
「交流戦最後の対戦カードが日本ハムでした。その3連戦を終えたら、遠征先の札幌市内で立浪監督が説明会見を開くと通達があったんです」(スポーツ紙記者)
投手転向の件は、札幌での会見が行われた13日にいきなり飛び出したものではない。
去る9日、立浪監督は名古屋テレビの情報ニュース番組『アップ!』に出演。そこで、二刀流デビューを果たし、ショート定着に向けて猛練習中の根尾のことを聞かれ、
「主はピッチャーで行きたい」
と発言。立浪監督のインタビュー出演を楽しみにしていた地元ファンを大いに驚かせ、それが全国区メディアの中日担当記者たちにも広がり、詳細をきちんと説明するという流れになったのだ。
「中日球団は立浪監督がきちんと説明するまで騒がないでほしいと言っていました。でも、OBの鈴木孝政氏や谷繁元信元監督らは『投手転向』についてコメントを求められると、おしなべて批判的でした」(名古屋在住記者)
13日の会見で立浪監督は根尾本人も納得済みであることを強調していた。それを証明するように、こんな目撃談も聞かれた。
「7日からZOZOマリンでの千葉ロッテ3連戦のとき、根尾が試合中、ブルペンで投球練習をしていたんです」(球界関係者)
とはいえ、早くも「投手・根尾」を不安視する声も出始めた。
「投手と野手では体付きも異なります。根尾は細めですが、一般的な投手の体格はヒップが大きく、下半身がしっかりしています。立浪監督は『将来は先発投手で』とも言っていましたが、そういう体付きに変えるまでどれだけ掛かるのか…」(同)
立浪監督が今回の決断を下した背景に「野手・根尾」の力不足もある。ショート1本で勝負するのなら、ハイレベルな守備力があれば多少打てなくても、許される。外野手であれば、守備に多少の難があっても、打撃力で評価される。根尾は守備、打撃の両方で伸び悩んでおり、「投手しか残っていなかった」というのが実情だという。
「ショート1本で勝負させると決まったのは、4月。一軍に帯同してからは、試合前の守備練習で立浪監督自らノックをするなど、根尾を教えてきました」(前出・名古屋在住記者)
しかし、地元ファンはそうは見ていない。将来の中核打者としての覚醒を信じている。
「投手の体」への肉体改造には時間が掛かる。その時間は、投手として伸び悩みと映るだろう。地元ファンの反対コールが立浪政権を揺るがすのは必至だ。
(スポーツライター・飯山満)