投手転向・根尾「ピッチャーもやりたいです」発言の真意

 中日・立浪和義監督が根尾昂を投手に転向させた経緯を改めて明かした。その機会を設けたのは、地元放送・東海テレビの配信コンテンツ『アスリートpress』。局は違うが、根尾の“投手専任”を発表したのも地元テレビ局。地元ファンに立浪竜がいかに愛されているかがよくわかる。

 今回のインタビューには目新しい情報はなかったが、根尾の心境を窺い知ることはできた。

「根尾の教育係は落合英二ヘッド兼投手コーチが務めます。立浪監督は『勝ちゲームではまだ…』と言い、しばらくはリードされた場面での起用になりますが、一軍に帯同させたまま色々と教えていくようです」(名古屋在住記者)

 落合ヘッドが実戦を積むことが必要と判断すれば二軍降格もあり得るとしていたが、興味深かったのは、投手転向を提案したときの根尾の反応。根尾は「ピッチャーもやりたいです」と答えたそうだ。

「も」と言ったところに、プロ入りしてからの過去3年間の苦悩が伺えた。

 投手転向の提案を最初にしたのは、監督就任からまもない昨秋キャンプでのこと。立浪監督は伸び悩んでいる根尾に心を開いてもらいたいとし、

「正直な意見も言ってみろ」

 と、つっこんで聞いたそうだ。根尾は試合に出たい気持ちを話したという。これに対し、立浪監督は「打撃面での向上」を認めつつも、

「プロ入りするとき、ショート一本で勝負すると言った手前、引けない部分もあったんじゃないかな」

 と、根尾の胸中を代弁していた。

「中日OBがメディアからコメントを求められています。ただ、OBから新しい情報は出ていません。立浪監督は春季キャンプの時点で投手転向を視野に入れた練習をさせていたので、この件は外部には全く漏れていなかったとも解釈できます」(球界関係者)

 根尾は投手転向を告げられたとき、嬉しそうな表情を返したという。立浪監督は「投手転向」を考えた理由として、潜在能力の高さをいちばんに挙げていたが、「結果がともなわないと、根気強く続けていくのも難しくなる」とも語っていた。「打者」として行き詰まっていたのである。

 6月16日の全体練習では先発投手班に入って、打撃練習も行っていた根尾。立浪監督は「最終的には本人次第」と繰り返していた。
 
「アイツは“エエ格好しぃ”なところもある。そういうところも教えていかないと…」
 
 ラストチャンス——そのくらいの覚悟がなければ、投手転向は成功しないだろう。

(スポーツライター・飯山満)

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