東京商工リサーチによると、今年1月から5月までの飲食業の倒産が337件と急増しており、コロナ禍を上回るペースであることが明らかとなった。行動制限や時短営業などがない中で倒産が加速しているのだが、その背景には「協力金バブルの影響」があるという。
「飲食業の倒産337件のうち、約7割となる226件は新型コロナ関連倒産となっていて、特に酒場・ビヤホール(居酒屋)が57件と最も多くなっています。時短営業から通常営業に戻したものの、大人数での宴会などは未だに避けられる傾向にあり、思ったように客足が戻らないのが現状です。その上、食材価格や光熱費、人件費などは上がり続けていますから、困難な経営状況に陥っているところも少なくないのです」(経済ライター)
加えて、倒産が増えている原因として挙げられているのが、時短協力金や補償金、雇用調整助成金などが打ち切られたことだという。営業時間短縮要請や休業要請に応じると1日6万円の協力金が支払われるなど、コロナ禍には普通に営業をするよりも多くのお金を手にする飲食店も少なくなかったといわれている。ほとんど店を開けなくても多額の協力金が入ってくるため、そのお金で豪遊する飲食店経営者もおり、「協力金バブル」という言葉が話題にもなった。
「個人経営では、店を開けなくても協力金で通常の3〜4倍というお金が入ってきたところもあったといいますから、真面目に働くのが馬鹿らしくなってしまったという店主もいた。ところが、ようやくコロナが収まったと思ったら、協力金がなくなり、材料費が高騰して客足も戻らないというトリプルパンチに見舞われたのです」(前出・経済ライター)
今しばらくは厳しい状況に変化はないと言われており、今後もさらに飲食業の倒産は続きそうな勢いなのである。
(小林洋三)