アフリカで感染爆発のエムポックス(サル痘)を日本でも大警戒すべきワケ

 現在、アフリカ中部のコンゴや周辺国で猛威を振るっているエムポックス(サル痘)。5~21日の潜伏期間を経て、発熱や頭痛、リンパ節腫脹、筋肉痛などが1~5日続き、その後発疹が顔や全身に広がるとされている。

 かつて人類にとって大きな脅威だった天然痘と症状が酷似しており、致死率はウイルスのタイプによって異なるが数%~10%。アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)によると、今年に入ってからのアフリカ大陸での感染者数は13カ国1万7000人以上で、うち517人が亡くなっている。

「実は、エムポックスは22年にも大流行しています。新型コロナの陰に隠れた形となり、報道でもあまり大きく取り上げられませんでしたが、当時感染が確認されたのは100カ国以上。この時と同じような状況が起こる可能性があるため、WHOも警戒を呼び掛けているわけです」(感染症問題に詳しい大手紙記者)

 日本でも22年に初となる感染が報告され、これまでの累計感染者数は約250人。しかも、その多くはアフリカへの渡航歴がない人たちで、決して他人事ではない。

「現在、アフリカのから直行便は成田―カイロのエジプト航空のみですが、それ以外でも欧州や中東、アジアでの1回の乗り継ぎで来ることができます。しかも、今は22年と比較にならないほど外国人が来日しており、水際で食い止めるのは困難。当時以上に国内での感染が広がることを懸念する医療関係者は少なくありません」(同)

 ただし、日本には「LC16」と呼ばれるエムポックス用ワクチンの十分な備えがあるとか。

「これを製造するKMバイオロジクスは日本のワクチンメーカーで、政府の増産要請にも容易に対応できます。また、予防対策としてはコロナ禍で多くの人が徹底していた手洗いや消毒、マスク着用といったことでも感染リスクを軽減することができます」(同)

 新型コロナも現在は第11波到来で感染者が再び増えている。どちらの感染症からも身を守るには、楽観視せずに日頃から衛生管理を意識することが大切なのかもしれない。

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