6月22日に世界同時発売となる人気RPGシリーズ最新作の「FINAL FANTASY XVI(ファイナルファンタジー16、以下FF16)」。しかし、サウジアラビアの視聴覚メディア一般委員会(GCAM)は、国内での発売中止を発表。日本のゲームソフトが特定の国で発売禁止になるのは異例の事態だが、具体的な理由は定かではない。
GCAMはツイッターで「必要な修正が行われないため」と投稿しただけ。発売元のスクウェア・エニックスも今のところ、これに関する公式発表は行っていない。
では、サウジアラビアはFF16のいったい何を問題視したのか。そこには厳格なイスラム教国家である同国特有の事情が関係している可能性が高いという。ゲーム業界に詳しいライターは次のように話す。
「業界内やネット上では主要キャラのひとりが性的マイノリティのLGBTQとの噂が流れており、もしこれが事実なら同性愛を違法とみなすイスラム法に反することになります」
サウジアラビアでは昨年公開予定だったハリウッド映画「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」の上映を中止しているが、これも登場人物の設定がLGBTQだったことがネックになったと言われている。また、日頃から同コミュニティへの支持を公言する米国の人気女性ラップ歌手のニッキー・ミナージュは、19年にサウジアラビアでのイベント出演が直前に中止となっている。
「FFシリーズといえば、前々作の『FF14』でプレイヤー同士のゲーム内結婚が可能なのですが、同性婚OKでファンの間で話題となりました。実は、ゲームの世界では国内外問わず、昔から性的マイノリティのキャラはいて、今に始まった話ではありません」
なお、スクウェア・エニックスとサウジアラビアの政府系ファンドの「パブリック・インベストメント・ファンド」は、ゲーム事業などのコンテンツ開発における投資検討の合意書を21年に交わしていたが、厳格な戒律の前には、“たかがゲーム”というわけにはいかなかったようだ。