戦争状態はイスラエルとパレスチナだけじゃない!すでに第5次中東戦争に突入か

 7日以降、激しい戦闘が続くイスラエルとパレスチナ・ガザ地区を実効支配するイスラム系武装組織ハマス。イスラエル政府は「戦争状態」と表現し、地上部隊のガザ地区侵攻も時間の問題となっている。そんな中、懸念されているのがパレスチナ以外のアラブ諸国を巻き込んだ第5次中東戦争の勃発だ。
 
 中東では1948−1949年、1956−1957年、1967年、1973年とこれまで4度にわたる戦争が勃発。そのすべてがイスラエルとアラブ諸国の衝突で、第4次中東戦争ではオイルショックの原因となるなど世界中に大きな混乱をもたらした。

 今回はイスラエルとハマスの衝突のみに思われがちだが同国北部ではレバノンのシーア派組織ヒズボラと戦闘状態にあり、さらに12日にはシリアの首都ダマスカスと第二の都市アレッポの空港にミサイル攻撃を行っている。いずれも攻撃を受けたことに対してイスラエル側が報復したわけだが、戦力的には優位でも3正面作戦を強いられており決して楽な状況ではない。

「ちなみにこれ以外にも中東ではイエメンやシリアが内戦状態にあり、トルコ南部やイラク北部ではクルド人武装勢力との戦闘が続いています」(戦場ジャーナリスト)

 イスラエルはかねてより国交を樹立していたヨルダンとエジプトに加えて、20年にはUAEとバーレーンとも国交を正常化。さらにサウジアラビアとも正常化秒読みとも言われていたが、今回のハマスの攻撃はそれを妨害する意図があったとも言われている。

「実は、ハマスとヒズボラ、シリアのアサド政権を支援しているのがイラン。しかも、ここに来てUAEやバーレーンなど他のアラブ諸国との結びつきを強めています。サウジアラビアとは対立関係にあり、イエメン内戦は両国の代理戦争の側面がありましたが、過去の中東戦争のように対イスラエルで1つにまとまる可能性もあります」(同)

 原油価格への影響も気になるが、ただでさえ相場が高騰しているところに、さらなる価格上昇を予想する専門家も多い。第5次中東戦争突入で半世紀ぶりのオイルショックなんて事態にならなければいいが…。

*画像はパレスチナの分離壁

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