「日本を真の軍事大国に─」。アメリカの雑誌「TIME」の表紙にこんなコピーで紹介された岸田文雄総理。文言は差し替えられたが、G7広島サミットは大丈夫か。支持率の上昇を追い風に、解散総選挙が囁かれる中、菅義偉前総理が「黒い願望」をたぎらせて着々と「岸田おろし」に動いていた。
「7月頃に解散総選挙があってもおかしくないでしょう。統一地方選では衆議院議員が系列議員の応援に回ったことで、来る選挙運動そのものになりました。5月に広島サミットでホストを務め、総理のイメージアップは自民党に有利に働く。しかも、選挙となれば党一丸となって戦うことで岸田総理の求心力が高まります。その後の臨時国会となれば、増税絡みの防衛費倍増や少子化対策といった国民負担増が待ち構え、解散ができる状況にありません」
早期の解散説を唱えるのは政治評論家の有馬晴海氏だ。果たして岸田文雄総理(65)はG7広島サミット後に動くのか。
大手紙政治部デスクも政界の激変を予測する。
「日本では過去6回サミットが行われていますが、そのうち4回は前後に解散総選挙があった。印象深いのは86年5月の東京サミット。それまで『解散はしない』と匂わせていた中曽根康弘総理(当時)が1カ月後に〝死んだふり解散〟を表明し、衆参同日選挙で大勝。銀行マンだった岸田総理が政界入りする1年前のことですが、彼は故事やジンクスを非常に気にするタイプ。解散時期についてはぐらかしている態度は、当時の中曽根氏と重なる部分が大きい」
この「死んだふり解散」と同様、7月に総選挙になれば自民党に追い風が吹くとの見方も根強く、
「7月8日には凶弾に斃れた安倍晋三元総理の1周忌を迎えます。その期間に選挙となれば、『テロに屈しない』『日本の民主主義を守る』といった大義が立つ。そもそも岸田政権の支持率が低迷したのは、安倍元総理の銃撃事件がきっかけ。国葬の強行や旧統一教会問題への対応を誤り、国民の不興を買ったためです。この7月を大きな節目にしたいという思惑は岸田総理の胸にもあるはず」(政治部デスク)
岸田総理のウクライナ訪問や日韓関係の改善などを受けて、各社が行った世論調査では岸田内閣の支持率が軒並み上昇。4月の産経新聞社とFNNの合同調査では50.7%と8カ月ぶりに不支持率を上回った。
新型コロナの感染再拡大に大地震、いつどんな災厄が起きてもおかしくない。現在の支持率をピークと見れば、やはり解散はサミット直後となるか。
「気がかりは来年9月の総裁選まで任期が1年以上残るということですが、それでも岸田さんの顔で選挙に勝てば、『岸田でいこう』ということで対抗馬が出にくくなる。話によれば、みずからの派閥の宏池会を築いた池田勇人元総理の通算在職日数1575日を超えたいと言っているとか」(有馬氏)
自民党の十八番「サミット解散」で宿願の長期政権を築けるか。しかし、水面下では重鎮たちが「岸田おろし」に向けて不穏な動きを見せているのだ。
(つづく)