7月30日、Jリーグの名門・鹿島アントラーズの経営権取得を発表したフリマアプリの「メルカリ」を運営するメルカリだが、遡ること25日には、2019年6月期通期の連結業績予想を発表。純損益が137億6400万円の赤字になる見通しであることを明らかにし、世間を驚かせた。
「メルカリはゴールデンウィーク中、アプリを通して全国で利用できるスマホ決済の“メルペイ”での支払いの50〜70%を還元するキャンペーンを実施しましたが、その負担がかさみ、大幅な赤字になったのです」(経済ジャーナリスト)
キャッシュレス元年と呼ばれる今年は、「◯◯ペイ」のQRコード決済が続々登場し、「PayPay」の「100億円あげちゃうキャンペーン」に代表されるように、各社こぞって大幅な還元キャンペーンを実施。ただし一方で、「LINE Pay」のLINEも19年1〜6月期連結決算の最終損益が266億円の赤字だったと発表しており、QR決済を導入した多くが大幅な赤字になると予想されている。
「ただ、メルカリも含めこうした赤字自体は想定内のもので、あくまで顧客を得るためのものであることから、仕方のない部分はあるとは思います。問題は、果たして137億の赤字を出したぶんだけのユーザーを獲得できたのかということ。これだけ多くのQR決済が登場しているということは、淘汰されるものも出てくるだろうし、そもそもQR決済が日本に定着するのかという疑問もある。ジャストシステムの『Eコマース&アプリコマース月次定点調査』(19年4月度)では、約4割のユーザーが“大型キャンページ時のみQR決済を利用している”との結果も出ており、“結局はメルペイが大損しただけ”という無残な状況に陥る可能性もあるということです」(経済ジャーナリスト)
しかもメルカリは7期連続の赤字状態なだけに、ユーザーの獲得ができなかった場合は、かなり厳しい現実が待っているかもしれない。
(鈴木十朗)