余ったから使いきる…「全国旅行支援」継続はナゼ必要なのか!

 政府が実施する全国を対象とした観光需要喚起策「全国旅行支援」が47都道府県すべてで4月以降も延長され、7月まで実施する県もあることが観光庁の集計によって分かった。5月8日には新型コロナウイルスの感染法上の分類が5類に引き下げられ、季節性インフルエンザと同じ扱いとなるが、果たしてこれ以上の支援が本当に必要なのだろうか?

「現在実施されている全国旅行支援は、23年1月10日より割引率を昨年の40%から20%に下げておこなわれているもので、当初は3月末までの予定となっていました。しかし、4月以降も国から配布された予算が余った地域は継続が可能となっていて、結局は全都道府県が延長を決めたことになります。なお、40都府県は6月30日宿泊分までとなっていますが、北海道、山口、高知、福井、大分、沖縄、宮城の7道県は7月も実施する予定で、旅行者が増える夏休み直前までは続けたい狙いがあると見られます」(社会部記者)

 観光庁が発表する旅行・観光消費動向調査の最新データによると、22年10〜12月期の日本人国内旅行者数は前年同期比+23.5%の1万1077人で、コロナ前の19年同期には及ばないものの急増している。また、月別国内旅行消費額では12月が1兆7386億円と19年同期をすでに上回っているのである。
 
「昨年の10月11日から全国旅行支援がスタートしているためその影響が大きいですが、観光需要喚起はもう十分成功しているとも言えます。今後は新型コロナの分類も引き下げられることもあり、旅行したい人は支援策がなかったとしても旅行するでしょう。Go to トラベルや全国旅行支援を巡っては不正受給も問題となっていますし、なぜ観光業界ばかり支援され続けるのか疑問ではあります」(経済ジャーナリスト)

 4月以降は国からもらった予算の余ったぶんで続けるというが、その予算はもともと国民から集めた税金だ。余っているから使うというのもいかがなものだろう…。

(小林洋三)

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