使い勝手が悪すぎ!西九州新幹線「旅行支援でもガラガラ」の根本的原因

 開業から3カ月を迎えた西九州新幹線。JR九州は開業後2カ月間の平均乗車率が38%と発表した。最初の1カ月の33%から上昇したことで、同社の古宮洋二社長は、「全国旅行支援や外国人の客が増え、需要を押し上げていると思う」と前向きなコメントをしたが、その一方で、ネット上には《想像以上にガラガラだった》などの投稿も多数寄せられている。

 この低乗車率は、例えば北海道新幹線(新青森〜新函館北斗)の開業から1年間の平均乗車率33%よりは高いが、北陸新幹線(長野〜金沢)の47%には及ばない。沿線人口の多さを考えれば、乗車率はもっと高くても不思議ではないはずだ。

 しかし、やはり最大のネックは、長崎〜武雄温泉のわずか66キロという開業区間だろう。博多との行き来には武雄温泉で乗り換える必要がある。移動時間は従来より最大で30分短縮されたとはいえ、使い勝手が悪いと判断されているようだ。

「全国旅行支援は期間限定のキャンペーンに過ぎず、地元住民の利用が不可欠。博多〜長崎の沿線人口は、北海道新幹線沿線のおよそ5倍の約300万人なのに、乗車率には反映されていません。つまり、自動車や高速バスなど、別の交通手段を選択する人が多いことを意味します」(鉄道ジャーナリスト)

 実際、博多〜長崎を結ぶ高速バスは、新幹線開業後に利用客が増加。昨年8月には運賃を値上げしたが、それでも週末の乗車率は3割増という盛況ぶりだ。

「新幹線も在来線のころよりは利用客が増えましたが、採算に見合うかは別問題。しかも、12月18日に行われた佐賀県知事選では現職の山口祥義知事が再選。山口知事はこれまでも、新幹線の運行方式が計画段階で変更になり、県側の負担が大幅に増えることから武雄温泉〜新鳥栖の工事着工を認めていませんでした。今回の知事選により、県民がその判断をあらためて支持したことになります。このままだと2030年度末に予定されている北海道新幹線の札幌延伸のほうが早くなりそうですね」(前出・ジャーナリスト)

 全線開通の見通しは未だ立っていない西九州新幹線。すでに週末や繁忙期以外はガラガラなだけに事態は思った以上に深刻かもしれない。

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