「旅行する気失せた」の声も…「全国旅行支援」開始でホテル・旅館の「便乗値上げ」続出か

 10月11日、政府は旅行代金の一部を補助する「全国旅行支援」をスタートさせた。しかし、この観光需要喚起策に合わせて宿泊施設などで便乗値上げが疑われる報告が多数寄せられ、ネット上では《旅行する気が失せた》といった声も上がっている。

「全国旅行支援では、その名の通り日本全国の旅行を対象に旅行代金の40%割引やクーポンがもらえる制度ですが、これに合わせて通常5000円の宿泊料が2万円に値上げされたホテルや、通常2万円の宿泊料が7万円に値上げされた旅館など数々の便乗値上げが疑われる報告がSNS上で相次いでいるのです。中には全国旅行支援を利用したとしても通常の宿泊料より割高になるケースもあるといいます。制度を利用した便乗値上げを禁止している自治体もありますが、ただ、そもそも宿泊施設ではシーズンや需要によって価格を変動するダイナミックプライシングを採用しているところも多く、今回の値上げが便乗値上げかどうかを見極めるのは非常に難しいのです」(社会部記者)

 相次ぐ便乗値上げ疑惑にネット上では、《需要が増えれば宿泊代が上がるのは理解できる。しかし空室があっても明らかな便乗値上げと思われる価格設定が多いのも事実》《観光業界を支援する取り組みなのに、その裏をかくような便乗値上げをされると、旅行する気も失せたわ》《こうした便乗値上げを自治体に報告しても解決はしないし、やめさせるにはその宿泊施設を利用しないという方法しかない》《便乗値上げではなくてそんな高額な宿泊費を出してくれる客がいるなら、全国旅行支援なんていらなかったんでは?》など批判的な意見が殺到している。

「先日、羽生結弦選手のワンマンアイスショーが発表されると、開催地である八戸の宿泊施設の料金が高騰。通常素泊まりで数千円の宿泊料が10万円を超える価格になっていたり、予約をしたはずなのにホテル側からキャンセルされたなどの報告がSNS上に寄せられ物議を醸しました。需要があれば宿泊料を上げるというのも理解できますが、度を過ぎた値上げをすれば批判されるのも仕方ないでしょう。特に、今回はコロナ禍で深刻な打撃を受ける観光業を支援する目的で制度を実施しているわけですから、それに便乗した値上げは施設の名誉を失うことになると思います」(旅行ジャーナリスト)

 価格に疑問を感じたら無理に利用しないことだろう。

(小林洋三)

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