新生・森保ジャパンのメンバーが発表された。
注目は攻撃陣ではない。攻撃陣は三笘薫、堂安律、久保建英、鎌田大地、伊東純也など欧州のクラブでレギュラーを確保し活躍している選手が多く、これまで同様に日本代表の中心として期待される。
第一次政権での問題は守備陣だった。最終ラインの長友佑都、吉田麻也、谷口彰悟、酒井宏樹。GKの権田修一、川島永嗣と30歳を超えるベテランが多く、世代交代が求められていた。
ところが新メンバーを見れば、森保監督はこの守備陣だけでなくボランチの柴崎岳を含め、ベテラン選手を一気に切った。普通なら、長友、吉田などを残してカタールW杯の余韻を少しでも残し、メディアやファンを喜ばせる興行的なメンバー選考もありだった。ところが、ここまで思い切ってベテランを切ったということは、森保監督が完全に2026年北米W杯に向けて切り替えている証拠だ。
そして、もうひとつの課題である攻撃力。W杯を振り返って選手たちが感じたことは「守ってカウンターのサッカーでは限界」「守備的なサッカーでは上にはいけない」ということ。自分たちで試合をコントロールする時間を長くできないと、悲願のベスト8には進出できない。
その課題を意識してか、初招集の選手たちの特徴は攻撃力。左サイドバックのバングーナガンデ佳史扶(FC東京)は、守備に課題はあるが、開幕から積極的に攻め上がり、チャンスを何度も作っている。右サイドバックの半田陸(G大阪)は、守備から攻撃に繋げるタイプ。インサイドに入って攻撃に絡める。センターバックの角田涼太朗(横浜FM)は、守備だけでなく、縦パスを入れて攻撃のスイッチ役になることができ、自らボールを前線に運んで行くこともできる。
そしてFWの中村敬斗(オーストリア・LASKリンツ)は現在、公式戦14点と南野が持つオーストリアリーグ日本人最多得点に並んでいる。2017年のU-17W杯のホンジュラス戦でハットトリックを決め一躍注目されたが、その後はなかなか芽が出なかったが、今季その実力が開花した。
ウルグアイ戦(3月24日)、コロンビア戦(3月28日)と続く2連戦。森保監督としてはW杯経験者を中心に先発メンバーを組むだろうが、6人交代の親善試合。積極的に新戦力を使って、いろんな組み合わせを試してほしい。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。