2021年シーズンの「プロ野球選手名鑑」が書店に並び、各球団の投手力、打撃力、守備力が数字として見えてきた。選手個々の通算記録とともに興味深いデータも示されていた。「今季に達成されそうな記録」だ。巨人・中島宏之内野手(38)が、今季、通算2000本安打に挑戦する。
その中島の守るファーストと言えば、赤マル急上昇中の高卒ルーキー・秋広優人内野手(18)がいる。
「秋広が開幕スタメンを勝ち取ったら、巨人では1959年の王貞治氏以来。開幕戦でヒットを打ったら、球団史上初の快挙となります」(スポーツ紙記者)
メモリアルか、それとも球団史か? 2000本安打まで「あと150本」と迫った中島には“ベテランの意地”を見せてもらいたいが、ファンの心境は複雑だろう。
「宮崎組がベテラン、主力選手たちの待つ沖縄に合流した22日、紅白戦が行われました。試合前のノックは両軍一緒に行われたんですが、そのとき、中島は秋広に声を掛けるだけではなく、身振りでも色々と伝えていました」(前出・スポーツ紙記者)
中島の人柄もあるが、秋広のレギュラー定着まではまだ時間がかかると見ていたのかもしれない。
「連日、秋広は居残りで一塁の守備練習を続けています。秋広に関しては、失敗しても経験させながら覚えさせていく教育方針です」(球界関係者)
居残り特守を続けさせているということは、原辰徳監督も一軍で使うつもりがあるからだろう。中島に対しても、巨人移籍が決まったときに「私とも気が合う」と言っていた。メモリアル達成を後押ししてやりたい気持ちは強く持っているはずだ。
「一塁にはウィーラー(34)もいます。秋広に注目が集まっていますが、中島、ウィーラーはともに打撃好調です。宮崎でのキャンプ前半、『秋広には外野も』と話す首脳陣もいましたが、沖縄入りしてからは外野守備には入っていません」(前出・スポーツ紙記者)
ベテランの「メモリアル」にしてもルーキーの「球団史に残る快挙」にしても、長いペナントでチームを活気づける原動力になりそうだ。オープン戦後半まで一塁の定位置争いに決着がつかなかった場合、秋広の外野守備練習が再開されるかもしれない。
(スポーツライター・飯山満)