日本代表の登竜門「ルヴァンカップ」ニューヒーロー賞候補はこの3人!

 今年で30周年を迎えたJリーグ。しかし、そのJリーグよりも早く開幕したプロサッカーの大会がある。それが「JリーグYBCルヴァンカップ」(開始時は「Jリーグヤマザキナビスコカップ」)。

 ルヴァンカップは、1993年に開幕したJリーグよりも1年早く92年にスタートし、今季で31回目を迎えた。3月8日、グループステージ第1節が行われ、熱戦が繰り広げられた。

 Jリーグに比べればウイークデーの試合が多く、リーグ戦に出場している主力選手を休ませ、控え選手中心で試合に臨むチームもあって観客動員が伸び悩み、注目度はいまひとつの大会かもしれない。天皇杯のように優勝すればACL(アジアチャンピオンズリーグ)の出場権を得られる、ということもないことから、決勝トーナメントに進出してから本気を出すクラブも少なくない。

 ただ、このルヴァンカップという大会は2013年に「同一企業の協賛で最も長く開催されたプロサッカーリーグの大会」としてギネス世界記録に認定され、現在も記録を更新中なのだ。つまり日本サッカーの発展に大きく貢献してきた歴史も権威もある大会といえる。

 また、新型コロナウイルスの影響で見送られていた「U-21選手の先発出場義務ルール」が今季から導入された。つまり2002年1月1日以降に生まれた日本人選手を1名以上先発出場させなければいけないということ。リーグ戦で出場機会に恵まれない若手選手にとっては、大きなアピールの場になる。

 では、この世代で注目するべき選手はいるのか。まず、注目してほしいのは横浜F・マリノスの山根陸。チームでは喜田拓也、渡辺皓太、藤田譲瑠チマに次ぐ4番手のボランチだが、U-20日本代表の中心選手であり、昨季もJリーグで11試合に出場している。喜田や渡辺に比べて、まだまだボール奪取能力やフィジカルの強さには劣るが、ミスが少なくボールキープ力もあり安定感がある。ルヴァンカップではパリ五輪代表の中心選手になる藤田とダブル・ボランチを組む。この2人のコンビネーションは注目に値する。

 そのほかにも、U-20アジアカップで日本代表の得点源となったFC東京の熊田直樹や、昨季もルヴァンカップで活躍した札幌の188㎝の長身FW・中島大嘉など、個性あふれる若手選手はたくさんいる。

 この大会には「ニューヒーロー賞」という個人タイトルがある。以前は23歳以下の選手が対象だったが、現在は21歳以下の選手が対象になり、大会で活躍した選手が1人選ばれる。歴代の獲得選手を調べると、名波浩や高原直泰、長谷部誠、原口元気とほとんどの選手がその後、五輪代表や日本代表に選ばれている選手ばかりで、ニューヒーロー賞受賞は日本代表の登竜門とも言われてきた。今季は誰が選ばれるのか。今から楽しみだ。

 ルヴァンカップは試合の勝敗も大事だが、次代のスターを見つける楽しみもある大会だ。

(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。

スポーツ