鉄道ファンの間で「見ると幸せになれる」と言われている新幹線「ドクターイエロー」。なぜ幸せになれるかというと、そもそも運行が少なく、走行時間や経路が明らかにされていないので、見ようと思っても簡単に見ることができないからだ。偶然に見ることができた人は超ラッキー、そんなことから見た人は幸せになれる、という伝説が生まれたのである。
その幸運の列車を見るだけでなく、なんと、乗車することができるイベントが開催されることがJR東海から発表された。3月22日、23日の2日間に一般向け体験乗車会を開催するという。言うまでもなく史上初の試みだ。鉄オタはもちろん、列車好きの一般人や子供にとっても僥倖と言えるイベントだろう。
東京駅と新大阪駅を1日1往復、乗車できるのは片道。定員は各行程50人で、人数が多い場合は抽選。料金は2万3620円。新幹線の通常料金より高いが、ドクターイエローに乗れるならこの倍、いや3倍でも払う、という鉄オタもいるのではないか。むしろチケットの不正な転売が心配されるところである。
なぜそんなにドクターイエローに乗りたいのか。鉄道ライターが解説する。
「ドクターイエローは正しくは『新幹線電気軌道総合試験車』で、線路や架線の状態を走りながら検測します。車内はそのための機材が積まれていて、一般向けの列車ではありません。その超レアな列車に乗れるんですから、鉄道ファンが興奮するのも当然です」
しかも、ただ乗るだけでなく、検測する人が座る「観測ドーム」に着席し、作業の雰囲気を体験することができるという。
「この発表に最も喜んでいるのは撮り鉄かもしれません。通常、ドクターイエローのスジ（走行時間）は明らかにされていないので、撮ろうとしたらネットの目撃情報に頼るしかありません。ですが、イベントのおかげで3月22日と23日は確実に走ることが明らかになりました。時刻もだいたいわかっています。さらにいえばこの日は青春18きっぷの利用期間内。東海道新幹線を撮れるポイントは決して多くないので、その場所に日本中から撮り鉄が集まってくるかもしれませんね」（前出・鉄道ライター）
ファンにとっては夢のようなイベント。抽選は高倍率になることが予想されるが、当選した人は存分に楽しみ、そして幸せになってもらいたい。
