1986年から放送されている「土曜スペシャル」(テレビ東京系)に近年、大きな変化が訪れている。若手芸人をメインの出演者として新たに何組も起用したのである。これまでの出演者はこうだった。
「売れっ子の人気タレントではなく、人気が落ち着いてきた人を起用する傾向が強かった。バス旅の太川陽介はその代表例です。そんな人選がむしろよく、テレ東の旅番組らしさになっていました」(テレビ誌ライター)
ところが21年からアンタッチャブルの山崎弘也、ぺこぱ、かまいたちと人気芸人を起用。その傾向は22年も続き、ニューヨークや見取り図らも出演。ザキヤマやぺこぱ、かまいたちの旅も続編が次々と放送されている。
その影響は「水バラ」(テレビ東京系)にも及び、メインではないものの、おいでやすこがやラランドのニシダ、オードリーの春日俊彰、ティモンディの前田裕太が起用された。
ただ、人気芸人を起用したことで、テレ東旅番組の評価が上がっているかといえばそうでもないと、テレビ誌ライターは言う。
「人気芸人が出演することで弊害が生じています。彼らは忙しいので長期のロケができないんです。バス旅は3泊4日で行われていますが、芸人の企画は1泊2日が当たり前。2日目は昼過ぎにロケ終了なんてこともありました。それでは凝った企画はできません。ロケ時間が短いので、内容が薄く感じることも多い。結果として企画で勝負してきたテレ東旅番組が、今はタレントの面白さに頼り切っています」
起用されているのは芸人だけではない。なんとジャニーズも次々と出演しているのだ。水バラの「ハイウェイSA&PAルーレット対決旅」にはKis-My-Ft2の横尾渉と二階堂高嗣、Snow Manの深澤辰哉と佐久間大介がメインとして出演した。昨年10月に始まった「1歩1円ウォー金グ対決旅」はHey!Say!JUMPの薮宏太とジャニーズWESTの中間淳太が起用されている。
「ジャニーズに関しても芸人と同じ問題が持ち上がっています。長期のロケができないんです。しかもジャニーズに忖度しているのか、厳しい旅にはならない。テレ東旅番組のファンは演者が苦労して頑張る姿を見るのが楽しみなのに、それがない。芸人よりも見どころがない旅になっています」(前出・テレビ誌ライター)
23年はどうなるのか。「企画のテレ東」と言われた本来の姿を取り戻すことはできるだろうか。