今月1日、米FOXニュースに出演したゴルフ界のレジェンド、グレック・ノーマンは「タイガー・ウッズがLIVゴルフのオファーを蹴った」とコメント。しかも、提示されたのはスポーツ界でも前代未聞の推定1000億円という超高額オファーだったことが明らかとなり、世界中のゴルフファンを震撼させている。
このLIVゴルフは、サウジアラビア政府系ファンドが全面支援する昨年創設されたばかりの新しいプロゴルフツアー。これまで世界規模のトーナメントといえば松山英樹らが参戦中の米PGAツアーだったが、豊富な資金力をバックに破格の賞金設定で、スター選手たちをPGAツアーから次々に“引き抜いて”いるのだ。
LIVが開催する「LIVゴルフシリーズ」は、48選手が出場する個人戦の優勝賞金は400万ドル(約5億4000万円)。最下位になっても12万ドル(1600万円)がもらえ、予選落ちだと賞金ゼロのPGAツアーより断然割がいい。1大会総額は2000万ドル(約27億円)、最終戦に至っては3000万ドル(約40.5億円)で、今年のマスターズの1500万ドル(約20.2億円)を大きく上回る。
「LIVゴルフは米ゴルフツアーから見ると黒船のような存在で、ケタ外れの賞金は選手にとってあまりに魅力的です。また、賞金以上にカネをかけているのがトッププロの引き抜き。メジャー6勝のフィル・ミケルソン(米)には2億ドル(約266億円)、ツアー20勝のダスティン・ジョンソン(米)には1億5000万ドル(約200億円)、NO1の飛ばし屋ブライソン・デシャンボー(米)には1億ドル(約135億円)の“移籍金”が支払われたと報じられ、LIVへ移籍するトッププロが後を絶たない状況です」(ゴルフジャーナリスト)
LIVゴルフの出場選手は上記のほかに、ブルックス・ケプカ(米)、パトリック・リード(米)、リー・ウェストウッド(英)、セルヒオ・ガルシア(スペイン)、マーティン・カイマー(独)らメジャー覇者がズラリ。
この流れを阻止すべくPGAは、LIV参加選手17名のPGAツアーへの出場権をはく奪。これに対して、LIV移籍組11選手がPGAを相手取り独占禁止法で訴えるなど、争いは泥沼化している。
「ローリー・マキロイ(英)がLIVに参加表明したケプカに対して『言っていることと行動が違う。相当の二枚舌だ』と痛烈に批判するなど、選手間にも分断が広がっています。また、ここに来て、メジャー2勝のレフティ、バッバ・ワトソン(米)のLIV入りが明らかとなりました。過去に実績のあるビッグネームが次々に切り崩しにあっている印象がありますね」(同)
日本からも谷原秀人、木下稜介、稲森佑貴、香妻陣一朗がLIVゴルフに参戦している。オイルマネーがもたらした、ゴルフ界の大激震はどのように収束するのか。