「メタバース」覇権を握るのはアップル、メタは後退 名物アナリストが予測

 サンリオは昨年12月に大好評を博した「VRChat」イベントを再び開催。7月15日に現実のサンリオピューロランドとヴァーチャルのピューロランドで同時公演するという初の試みを行うという。
 
 またソフトバンクでは、メタバースアプリ内にショップを出店、アバターが接客を行うという本格的なメタバースを導入した。今まではメタバースと言っても正直、仮想空間内に「場を作るだけ」といった導入例が多かったが、今後はこういった本格的なメタバース空間が広がっていくことだろう。

 そのメタバースと言えば、昨年10月にFacebookが本格的なメタバース企業になると宣言して、社名もメタ・プラットフォームズに変更して先陣を切る形となったが、今後はメタは一歩後退して、あのアップルがゲームチェンジャーになるとの予測が専門家から出ている。

「アップルでは毎年行っているWWDC(世界開発者会議)で新商品情報が明らかにされます。今年6月に開催されたWWDCでは、メタバースで使用されるAR/VRヘッドセットが発表されるんじゃないかという予想が多くありましたが、出てきませんでした。ところが、アップルの新製品予想では必ずと言っていいほど名前が出てくるミンチー・クオという謎のアナリストがいるのですが、この人物が来年1月にアップルからARヘッドセットが発売されると予測しているのです」(IT情報に詳しい経済ジャーナリスト)

 クオ氏はその予想の的中率の高さから、特にアップルの製品を多く作る台湾のサプライヤーと太いパイプがあるのではないかとされる人物。となれば、かなりの信憑性を帯びてくる。もちろん製品のクオリティと斬新さで知られるアップルだけに、メタバースのハード分野で本格参入となれば、斯界の景色は大きく変わるかもしれない。

 そしてさらにはメタとアップルの優位性が逆転するとも予測を行っているという。

「クオ氏はアップルが昨年4月に新しくした広告規制で、SNS企業の広告収入が大きく落ち込んだ件を指摘。中でもメタに与えた影響は大きく、ヘッドセットなどのハードへの投資が減速していると指摘。それに代わってアップルが台頭することで、以後はアップルのヘッドセットを他社が真似ることになり、アップルがゲームチェンジャーになるとしているのです」

 確かにアップルが提供するメタバースを考えれば、どんな革新的なものが出てくるだろうかとワクワクする。WWDCと言えば、アップルの上級副社長でソフトウェア担当のクレイグ・フェデリギ氏が登壇することで知られるが、来年のWWDCはフェデリギ氏がヘッドセットを着けて現れるかもしれない。

(猫間滋)

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