もう一度、日本ハム球団と話し合ったほうが良いのでは?
来シーズン、北海道日本ハムファイターズが北広島市に建設中の新球場・エスコンフィールドに移転する。
その最寄り駅となるJR北広島駅だが、シャトルバスの発着地となる西口ロータリーや周辺道路の拡充工事も始まっており、市全体の気運も高まっていた。対照的なのが、日本ハムを見送る側の札幌市だ。
「札幌ドームも改装工事が始まります。行政は関連費用を含め、約10億円を掛けて造り替えるんです」(地元メディア)
一塁と三塁の両ベンチ付近の天井にレールのようなもの新たに設置する。そこにロールカーテン装置を設け、内野フィールドからバックネット付近、つまり、球場の約3分の1を見えなくするための新装置を造るのだ。
「そのカーテンをバックにステージを臨時設置すれば、コンサートができますよと。札幌ドームは座席数だけで5万3738もあります。5万人を動員できるアーティストというと、数える程度しかいません。1〜2万人の集客を見込んだコンサート会場としても使ってもらえるように改造するんです」(同)
日本ハムは年間約70試合を札幌ドームで開催してきた。札幌市はその70試合分の収入を喪失するため、2023年以降はラグビーやテニスなど他競技の誘致はもちろんだが、コンサートや劇場など多目的会場としての色合いを強くしていく。しかし、本当にうまくいくのだろうか。
「市内で重複する施設が他にありますから…」
そんな悲観的な声も多く聞かれた。
そもそも、札幌市には「札幌文化芸術劇場 hitaru」という真新しい施設がある。観賞席数は2300席ほどで札幌ドームの比ではないが、札幌駅から徒歩15分ほどの好立地にある。同じ札幌市内でドームとhitaruが張り合うことにもなりかねない。
「アマチュアスポーツ界にも門戸を広げる話も出ています。高校野球の舞台として使ってもらう構想もあったんですが、市内には『札幌円山球場』もありますから」(地元関係者)
札幌円山球場は、甲子園出場を掛けた決勝戦の舞台として知られている。
先のhitaruだが、開場は2018年。着工したのは日ハム本拠地移転の話が出る前だった。目下、球団は「新庄効果」でどの球場でもそれなりの観客数を確保している。札幌ドームを多目的会場として造り替えるのは行政の責任だが、新庄剛志監督のイベントも企画したほうが良さそうだ。
(スポーツライター・飯山満)