8月17日、新庄ファイターズが今季最長タイの5連勝を飾った。試合後、新庄剛志監督は今季1号アーチを放った王柏融と、攻守にわたって活躍した万波中正を褒めていたが、続けてレフトを守った野村佑希の名前を出してこう語った。
「良いプレーをして欲しいんじゃなくて、今ね、打つ方がすごく良いので。森本(稀哲)コーチが毎日毎日こう少しずつ…。急には出来ないんで。やっぱ、後ろの打球がいちばん難しいから、その辺は経験させていきながら。まあ、でもレフトって決まったわけじゃないですからね」
野村は王柏融の支配下復帰などもあって、ここ最近は三塁や指名打者ではなく、レフトで出場している。試合前、森本コーチに打球の追い方などをレクチャーされていた。
「王が支配下に復帰し、一塁に清宮幸太郎がいる。捕手のマルティネスが打撃優先で一累を守る試合も増えてきました。清宮が三塁にまわれば、野村が弾き出されてしまいます。野村の外野コンバートは止むを得ません」(ベテラン記者)
また、新庄監督は「万波・清宮・野村」の3人を「ロマントリオ」と呼び、このうち誰か1人が打ってくれるとチームの雰囲気が好転するとも話している。野村のレフト緊急コンバートはロマントリオの成長を加速させるためでもあったようだ。とはいえ、慣れない外野の守備には課題も多い。
「11日のソフトバンク戦では、レフトの野村とセンターの五十幡亮汰が交錯し、一瞬ヒヤッとなりました。五十幡がしばらく動けなかったものの、大事には至りませんでしたが…」(前出・記者)
先に捕球体勢に入ったのは野村だった。しかし、五十幡は俊足だ。これまでの日本ハム外野陣なら、五十幡に譲っている場面だった。
「五十幡も『急造外野手』の野村が心配だから、無理をして捕りに行ったんです」(球団関係者)
五十嵐に何かあれば、ロマントリオの育成構想もオジャンになっていただろう。打撃優先とはいえ、シーズン途中でのコンバートは危険も伴う。
ただ、そうした守備面でのリスクがなくなり、ロマントリオが新庄監督の期待通りの働きをすれば、最下位脱出も見えてくるはずだ。
(飯山満/スポーツライター)