4月25日、ウクライナ外務省がTwitterに投稿した、各国の支援への感謝を伝える動画の中に「日本」の表記がなかったことが物議を醸している。
問題の動画は30秒ほどの短いもので、「困難な時期に支援をしてくれたパートナーに感謝します」といった謝意を伝えるナレーションが流れる中、アメリカやカナダなど31の国名がテロップで流れるといった内容。しかし、そこに3億ドル(約380億円)の財政支援や難民の受け入れ、防弾チョッキやヘルメットなどの提供をしてきた「日本」がなく、これを不満に感じる人も少なくなかったようだ。
自民党の山田宏参議院議員は26日に自身のTwitterに「ウクライナ政府が感謝している国々の中に日本がない。外務省を通して確認しています」と投稿。この動画はウクライナ軍の関係者が軍事支援に対して制作したものをウクライナ外務省がそのまま発信したとの説明を受けたあとも、「わが国防衛省も、兵器ではないがヘルメットや防弾チョッキ等の軍事的な支援を行なっており、いずれにしても甚だ不適切なTwitter。外務省を通じて適切に対応する」と怒りをあらわにした。
これに対し、林芳正外相は記者会見で「武器支援を行った国々への謝意を示したと説明があった」と語っており、松野博一官房長官も「これまでの日本の支援については、ゼレンスキー大統領をはじめ政府要人から謝意が表明されている」とかばったが、ネットでは《ウクライナには支援国と思われず、ロシアからは非友好国に認定され…。もはや支援は日本にとってただただマイナスでしかない》《日本は湾岸戦争の時も90億ドルを支援したのに『日本は金だけ出して血は流さない』と批判されたこともあった。もう、他国の戦争にかかわるのはやめよう》《感謝されないから文句を言うなんて恥ずかしいという意見もごもっともだが、日本に何の得もない支援を続ける意味がないというのも正しい意見》など、今後の支援に疑問をつきつける意見が飛び交っている。
「4月1日にはウクライナ政府の公式Twitterに、ヒトラーとムッソリーニ、昭和天皇の顔写真を並べてファシズムを批判する投稿をおこない、日本の外務省から抗議を受け謝罪していたこともあったので、今回の件を含めてウクライナにもどかしい思いを抱いた人も少なくなかったのでしょう。批判が出るに決まっているのに、なぜウクライナはわざわざ特定の国名だけをあげた支援感謝の動画を作ったのかという疑問もありますが、だからといって日本の名前が出なかったことを批判したり、今後の支援を見直すというのはまた違うでしょうが…」(フリージャーナリスト)
ウクライナ政府は他国の細かい抗議など受けていられない状況だろうが、何やらモヤモヤする応対である。
(小林洋三)