犯罪がらみでもあるため、トラブルは絶えないようだ。先の地元関係者が証言する。
「ミゲルから車を仕入れて横流ししたため、ミゲルの所に警察が来ちゃったこともある。逆もあって、注文して先に金を払ったら、ミゲルが使い込んじゃって車を渡さないってこともあったそうだ」
ただし、犯罪者同士は一蓮托生。相手も基本的には、どこの誰から買ったかは口外しないという。
「みんな、盗難車って知ってて買ってるから。巨峰、シャインマスカット、リンゴ、ナシ、イチゴ、メロン‥‥。例えば、日本の高価な旬の果物を収穫前に強奪しに行くのに、20万円でトラックを買って1000万円近く儲けられるんだから、利益幅が違うよな。仕事が終わったら、盗難車を捨てちまえば証拠も残らない。もし警察に問い詰められても、もう国に帰って二度と来日しないブラジル人の名前を出して、そいつから買ったってことにしちゃうケースもよくあるんだ」(X氏)
ここには中古車販売店が多い。もちろん正規の優良店もあるのだが、ミゲルはこう口にした。
「(自分の店と)同じような車屋いっぱいある。ブラジル人でもトルコ人でもやってる」
─そうなれば、より安く売ろうと価格競争になったりしない?
「‥‥」
なぜか急に過剰反応を示し、目を背けてダンマリを決め込むミゲル。
─冗談だけど、よその店では盗難車を売ったりしてるのでは?
「そう、そう! 車買ってるベトナム人は盗みやった後、車を捨ててきちゃうんだよ」
途端に饒舌になったかと思うと、他店の話が前提であればと前置きして、盗難車販売の実態があることをあっさりと認めたのだ。そして事情を知っている者しか知りえない内情をこう語るのだった。
「ベトナム人は書類なんかついてない車買うよ。盗み用じゃなくても、アルファードとかヴェルファイアとか乗り回してるね。普通に乗ってれば、気づかれない。ただ追突事故なんか起こしたら逃げるよ。捕まっちゃうからね」
ぶつけられたほうはたまったものではない‥‥。
この日、同行者は即日では買わないことを告げた。ミゲルの「電話ちょうだい。言ってくれれば用意しとくよ!」という声が響いたが、おそらく、彼に二度と会うことはないだろう。
*「週刊アサヒ芸能」1月20日号より