新・労使協定余波!MLB選手が続々、日本プロ野球行きを真剣検討か

 新・労使協定の話し合いの遅延による影響が日本球界にも及びそうだ。

 メジャーリーグ機構と同選手会は、対面による話し合いを再開させた。しかし、進展はナシ。そんな状況を受けて、41歳の左腕、リッチ・ヒル投手が米スポーツ専門チャンネル・ESPNのラジオ放送に出演し、こう訴えた(1月26日/現地時間)。

《春季キャンプは遅れて欲しくないが、この2週間でよっぽど大きな進展がない限り、避けられないだろう。キャンプインが遅れれば、選手がシーズン中に怪我を負うリスクも高くなる。また、マイナー選手も…》

 ヒルはMLB17年、米独立リーグも経験し、10球団以上を渡り歩いた苦労人である。技巧派の先発投手として活躍してきたが、故障も年齢的な衰えもあり、19年以降は毎年所属球団を変えている。昨年12月にレッドソックスとの契約を勝ち取ったが、期間は「1年」。現役続行に強い執念を持っているのだろう。

「キャンプ・スケジュールへの影響は多くの米メディアが指摘してきました。今回、影響力の強いベテランがそれを口にしたことで、『キャンプが予定通りに始まらない』との予想に現実味が増してきました。ヒルの言った通り、キャンプで十分な調整もできないままシーズンに突入することに強い抵抗感を持つ選手も出てきそうです」(在米ライター)

 日本のプロ野球チームへの売り込みも始まるだろう。いや、すでに水面下での売り込みはなされているが、現時点では年俸など条件面で折り合いがつかないのかもしれない。

 今後、金銭面は二の次とされた売り込みもありそうだが、NPBの斉藤惇コミッショナーは一連のコロナ禍を指して、新たに契約した外国人選手とその家族の来日について“厳しい状況”にあることを口にしていた。

 日本球界も新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない限り、契約未定のメジャーリーガーたちの売り込みには応じられないだろう。

「米スカウトもお目当てのNPB選手を直接視察できません。昨年もそうでしたが、米球界挑戦を視野に入れている選手は、評価を下げてしまうかも」(ベテラン記者)

 新・労使協定の話し合いを続けているオーナーたちも昨季の無観客試合などで経営が苦しい。ヒルはレッドソックスと契約できたが、年齢や故障歴のある選手たちは安く買いたたかれるだろう。日本国内のコロナ禍が収まるのが大前提だが、「今季は我慢して、来季に」とNPB行きを考える選手も増えてきそうだ。

(スポーツライター・飯山満)

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