どうも、矢野燿大監督のコメントが気になる。来季のクローザーは新外国人投手ではなく、技巧派左腕かもしれない。
阪神が2年連続セーブ王のロベルト・スアレスの後釜として、前パドレスのカイル・ケラー投手を獲得したのは12月10日だった。
「157キロの速球とカーブで三振を狙いにいける投手と紹介されています。19年、阪神で活躍し、翌20年にメジャーリーグに好条件で帰還したピアース・ジョンソンのピッチングに似ていると、阪神フロントは期待していました」(在阪記者)
先発タイプの新外国人投手、アーロン・ウィルカーソンの獲得が発表された5日時点でケラーの名前も出ていた。「先発はウィルカーソン、クローザーはケラー」というビジョンだが、矢野監督はこうも語っていた。
「日本人選手で(新クローザーが)出てきてくれたらいいけどね。外国人選手も含めて見極めというか、競争になる」
これは、12月6日のコメント。矢野監督の誕生日会見でスアレス退団について質問されたときに出たものだ。蔦村聡球団本部長はケラー獲得を発表の際、「当然、スアレスの代替。そういう位置づけで」とも語っていた。矢野監督のコメントはケラー獲得の前のものだが、新外国人投手の交渉状況について報告を受けていないはずがない。ケラーを新クローザーの筆頭候補と見るフロントに対し、矢野監督は「他投手との競争」と位置づけている。
「ケラーと競争するリリーバーというのが、今季8回を任せ、スアレスに繋ぐセットアッパーとして活躍した岩崎優のようです」(前出・在阪記者)
矢野監督は関西圏のTV番組に出演した際も岩崎の名前を挙げていたという。
「東京五輪の間、一時帰国したスアレスの再合流が遅れ、その間、矢野監督は岩崎に9回を託しました(8月15日)。そのころからイメージしていたのでは」(球界関係者)
21年はシーズンを通して好調を持続したわけではないが、矢野監督は「大崩れしない」と岩崎を評価しているという。クローザーの適性が本当にあるのかもしれないが、新加入・ケラーの起用法を巡ってフロントとの食い違いが生じなければよいのだが…。
(スポーツライター・飯山満)