中国・大人気ティー専門店「奈雪の茶」“ゴキブリ・腐った果物”報道の激震

 昨年7月に大阪・心斎橋に日本1号店をオープンし、今年6月には香港証券取引所にティードリンク企業としては初めて上場を果たした中国の「奈雪の茶」(NAYUKI)に中国国営メディアである「新華社通信」の記者がスタッフとして潜入取材をしたところ、同社の株価が大暴落する事態に発展している。

「『奈雪の茶』は彭心(ペン・シン)と趙林(ジャオ・リン)夫妻が立ち上げ、2015年に広東省深セン市に1号店を出店した中国のティードリンク企業です。自家茶園の手摘み茶とフルーツをかけ合わせたティードリンクが人気で、昨年末の時点で中国を中心に491店舗を展開。6月の新規上場の際には創業者夫妻がビリオネアになったことでも話題になりました」(社会部記者)

 ここ数年、中国ではティードリンクブームが巻き起こる一方で、衛生面で問題視されることも少なくなかった。そこで、「新華社通信」の記者が「奈雪の茶」にスタッフとして潜入取材したところ、店内にはゴキブリが這い回り、腐ったフルーツが調理場に置かれ、4時間以内に販売しなければならない商品は期限が過ぎてもラベルを張り替えて売られていたという。他にも調理時にスタッフが手袋をしていない、布巾はいつまでも取り替えられないなどなど不衛生な状況が報じられ、中国版ツイッター「微博(Weibo)」でトレンド入りするなど瞬く間に情報は拡散していったのだった。

「これを受け3日の香港証券取引所ではNAYUKIの株価が10.83%も急落する事態となっています。新興業界であるティードリンクはスタッフの指導が行き届かず、店舗が不衛生になる傾向がもともとありましたが、コロナの感染拡大によってデリバリー注文が急増すると、その傾向がより顕著になっていったとみられています」(中国事情に詳しいジャーナリスト)

 中国ではかつて、食品加工会社の賞味期限切れ鶏肉問題が大問題となったが、相変わらず見えないところの衛生面には大きな課題を残しているようだ。

(小林洋三)

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