東京都では過去最多となる一日の感染者数が5000人超を記録するなど新型コロナの爆発的な感染増加が起こる中、西村康稔経済再生担当相は8月10日の記者会見で国民に対し「帰省をして親族で集まるとか同窓会で集まるとか、絶対に避けていただきたい」と強く要望。そんな中に起きた、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の“銀ブラ”に対する怒りの声が収まらない。
五輪閉幕翌日の9日の16時頃、ポロシャツ姿というラフな格好でICOのバッハ会長は銀座の街にあらわれた。突然の登場にバッハ会長の周りには人だかりができ、会長は笑顔で撮影にも応じたという。しかし、五輪期間中は選手に対しても観光を禁じていた状態だっただけに批判が殺到した。しかし、10日の閣議後定例会見で丸川珠代五輪担当相は「まず14日間しっかりと防疫措置の中で過ごしていただいている。加えて不要不急であるかはご本人がしっかり判断すること」と説明。バッハ会長の銀座散策は問題視しないとの発言が火に油を注いだ格好となった。
「ネット上では怒りが爆発しており、《なるほど、不要不急の判断は各自が判断していいんですね。では、西村大臣の要求も各自で判断して無視いたします》《大臣様が言ったことですからね。不要不急は各自の判断。さぁ、みんなお盆は実家に帰省して久しぶりに親族と集まりましょう》《帰省解禁、旅行解禁。まさかバッハ会長だけ特別扱いしたわけじゃないよな?》といった声が多く見られました。
これからがコロナの感染増加を抑えるための瀬戸際だというのに、政府のバッハ会長への対応は完全に国民の気持ちを萎えさせてしまいましたよね。加藤勝信官房長官などは『五輪が現在の感染拡大の直接の原因になっているわけではない』と強調していますが、今後、不要不急を各自で判断して旅行や帰省が相次いで感染が増加すれば、五輪というよりバッハ会長が感染拡大の直接の原因になる可能性も十分にあるのではないでしょうか」(ITジャーナリスト)
丸川大臣も、バッハ会長に苦言を呈せない弱すぎる立場を正直に釈明すれば、ここまでの怒号は上がらなかったかもしれない。
(小林洋三)