巨人は実松一成二軍バッテリーコーチを一軍担当とし、5月25日から始まったセパ交流戦を戦う。チーム防御率3・36はリーグ4位と振るわず、救援陣にいたっては3・88(同5位)とさらに落ち込んでいる(24日終了時点)。パ・リーグ在籍経験もある実松コーチの昇格は「交流戦対策」も兼ねているのかもしれないが、今回のバッテリーコーチの配置替えで“見えてきたもの”もある。放出説の絶えない小林誠司捕手の今後だ。
「小林捕手のトレードはない。あるとしても、6月17日以降でしょう」(ベテラン記者)
小林は二軍調整中。しかし、本当に放出するのなら、捕手を補強したい日本ハム、千葉ロッテ、東北楽天が本気で交渉してくるだろう。
また、一軍クラスの捕手を放出するということは、バッテリー間ではなく、チーム全体のサインを変更しなければならない。その混乱を考えると、同一リーグへの放出はできない。トレード交渉先がパ・リーグに限定されるわけだが、交流戦の開幕日を迎えてしまった。しかも、巨人はトレード先となりうる楽天と初戦を戦い、日本ハムとは6月4日から、ロッテとは最終カードでの対戦となる。つまり、小林の放出交渉を進めることができない状況にあるのだ。
「小林は出せないとの情報も交錯しています。エース・菅野智之と息が合っており、投手陣が信頼を寄せているのも本当です」(前出・同)
小林がチャンスに恵まれず、ファーム暮らしを続けている理由は「打てない」に尽きる。しかし、バッテリーコーチを入れ換えて投手陣が上向きにならなかったら、「配球に長けた強肩捕手の小林を」となるかもしれない。
「坂本勇人、菅野と投打の中心選手を欠いたこともチームが勢いづかない原因に挙げられています。2人の一軍合流が遅れるようであれば、『守備の中核選手』として小林を昇格させると思われます」(球界関係者)
実松コーチの配置換えにも起爆剤としての狙いもあったはず。昨季はシーズン途中のトレードが的中し、優勝まで一気に突き進むことかできたが、今季はそれがない。チームの雰囲気を好転させるため、小林放出がないとしても、トレードは十分に考えられる。
(スポーツライター・飯山満)