巨人の新入団選手は、ラッキーなようである。背番号の話だ。
今季は阿部慎之助を始め、森福允彦、上原浩治、マシソン、クック、ヤングマンらの引退、退団によって、「若い数字の背番号」が空いた。「実績のある先輩の背番号を着けるのはおこがましい」と言うムキもあるが、「付けさせてあげたら?」という声のかかるドラフト指名選手もいた。
5位指名の山瀬慎之助捕手(星稜高)だ。巨人スカウトによる指名挨拶を受けた10月25日、山瀬は報道陣に囲まれ、阿部ファンだったことを改めて語っていた。「背番号10」に対する継承の思いも質問されたが、
「それは活躍してからじゃないと…」
と、謙遜していた。しかし、継承を推すチーム関係者もいる。名前が同じ慎之助だからではない。
「山瀬が少年時代、親御さんに唯一おねだりしたのが、阿部の筆箱。缶タイプのペンケースで、それを中学、高校とずっと使い続けたそうです。そういうスカウトからの報告もあって、そこまで憧れているのであれば、と」(地元紙記者)
甲子園大会中、阿部グッズのタオルで汗を拭いていたエピソードも有名な話。もっとも、「背番号10のまま二軍監督を務めさせる」との意見も球団内にあり、また、阿部がかわいがっていた小林誠司に継承させるプランもあるそうだ。
「背番号にこだわるプロ野球選手も少なくありません。『若い番号=球団の期待』なので、50番以上を付けている若手は、背番号の“昇格”に期待しています」(スポーツ紙記者)
ドライチの堀田賢慎(青森山田)について、原辰徳監督は「将来のエースに」と期待を寄せていた。その堀田が仮に上原の付けていた19番を継承することになれば、山瀬の「10番」もエコ贔屓ではなくなる。
昨年オフ、原監督は背番号のシャッフルを行った。来季は髙田萌生、大江竜聖、横川凱、直江大輔、そしてペナントレース優勝の日に先発した戸郷翔征らが”昇格対象者”とも言われている。
新人選手を含め、原巨人は2年連続での大掛かりな背番号のシャッフル劇が見られそうだ。
(スポーツライター・飯山満)