現在放送中のNHK大河ドラマ『青天を衝け』で改めて注目を集めている〝日本資本主義の父〟渋沢栄一。その経歴などがメディアで紹介されているが、彼の出身地に衝撃を受けた人もいるのではないだろうか。
彼が江戸時代末期の1840年に生まれたのは、武蔵国榛沢郡血洗島村。あまりに強烈すぎる地名で、生前の彼は出生地の話をするたびにその由来について尋ねられたという。
ちなみにここは現在の埼玉県深谷市。市内北部の一部地域には、血洗島が正式な地名として字面もそのままに残されている。なぜそのような地名が付けられたのかは定かではないようだが、渋沢栄一デジタルミュージアムのホームページによると、アイヌ語の岸や末端を意味する「ケシ」や「ケセン」が当て字になった説、近くで起こった合戦で武士が切り落とされた手を洗った説、近くを流れる利根川が度重なる氾濫で地を洗うように流れたなどの諸説が存在するようだ。
実は、そんな深谷市には〝駅名が日本一怖い〟と称される駅もある。それは秩父鉄道の小前田駅だ。ただし、同じ市内でも血洗島からはかなり離れており、両者にこれといったつながりなどはない。そもそも駅名自体もごく普通のように思える。
だが、カナ読みにするとその意味がよくわかる。車内のドア上にある電光掲示板では《次はオマエダ》と表記され、それがSNSを通じてネット上で拡散されているのだ。
沿線出身の女性は、「友達と『犯行予告みたいな駅名だよね』と話したことはありますが、まさかネット上で有名になっていたとは……」と驚いた様子で話す。B級ホラー映画のワンシーンではないが、土地勘のない人間であれば、いきなり電光掲示板にこんな風に表示されたらビックリするかもしれない。
変わった名前の駅は全国に数多くあるが、「怖い」という要素を持つのは知る限りではここだけ。今のところ、鉄道会社がこれを利用してキャンペーンやイベントなどを行ったとの話は聞かないが、やればきっと話題にはなるはずだ。
(高島昌俊)