阿部慎之助の引退表明の舞台裏が見えてきた。そこには「次期監督」という巨人の近未来像も隠されていた。
「優勝を決めた翌日(9月23日)、原辰徳監督は阿部を呼び、会談しています。そのとき出たのが『余力を残して辞めたほうがいい。そのほうが次の目標に向かうエネルギーになる』という助言。阿部は『辞めるかもしれない』とは一部関係者に漏らしていたようですが、どこかで『もう1年』の思いもあった。それが、原監督の言葉で決心したようです」(球界関係者)
原監督は5年ぶりのリーグ優勝を果たし、その立場は絶対的なものとなった。しかし、そんな“カリスマ指揮官”でも、一人で決められないのが次期監督だ。
「『次の目標』という言葉を伝えた時点で、原監督の後継者は阿部と見るべき。球団フロントも阿部に一目を置いているのは間違いない。グラウンド内外の雰囲気を変えないためにも、原監督は阿部の肩を叩いたのかもしれません」(同前)
そんな阿部の今後だが、数年は原監督の手許に置いて帝王学を学ばせるとされているが、一方で采配の経験を積ませるため、二軍監督案もあるそうだ。
また、かねてより“ポスト原”の有力候補とされた松井秀喜氏だが、「第二子がまだ幼く、夫人に子育てを任せて単身赴任となるのは難しい」との判断がある。一時は松井氏の巨人帰還を絶望視する声もあったが、松井氏と巨人の関係はこうした具体的な話をするまでに修復されており、松井氏も外部からの協力は惜しまない姿勢だ。
「指導者としての阿部、そして将来の松井氏。そのどちらも原監督が相談役のような立場になると思われます」(同前)
来季の巨人はFAの人的補償で移籍した内海哲也の帰還も噂されている。ドラフトでは「佐々木、奥川が1位指名できなければ、東海大の捕手・海野隆司を獲る」と見られている。海野の肩は甲斐キャノン以上とも評価されており、原監督の母校・東海大学の出身でもある。原監督の発言力はますます強くなっていくようだ。
(スポーツライター・飯山満)