「くら寿司」がAI導入で厨房システムを一新、驚きのメリットとは?

 寿司屋と言えば職人仕事の最たるものの1つではあったが、今後はAIが新人の教育係を担っていくという。

 大手チェーンの「くら寿司」がAIに顧客や時間別の注文といったビッグデータを分析させ、これまでは熟練スタッフの“勘”に頼ってきた厨房の体制を変えるという。

「同社では食材の管理や料理の準備はこれまで、人間の経験則や感覚を頼りに行ってきたところを、AIによるビッグデータの分析で得られた精緻な需要予測に切り替えるとのことです。これにより、売れ筋商品の提供が円滑に行えるようになり、加えて最小限のスタッフで店舗を切り盛りできる省人化にもつながります。飲食やサービス業は人手不足でスタッフの確保が難しく、入れ替わりの激しいアルバイトや高齢者の働き手への依存が増える中、これら新人もAIの指示に従って働くことになります」(経済ジャーナリスト)

 一方のライバルである「スシロー」ではすでにビッグデータの活用を進めていた。名付けて「回転すし総合管理システム」というものだが、早いことに2002年から導入している。

「皿にICチップを付けて『どの』寿司が『いつ』、『どれくらい』食べられたのかのデータを収集、販売実績から需要を読み取るというものです。皿がどれくらい回っていたかの走行距離も計測して、カピカピに干からびた寿司は自動的に廃棄されます」(前出・経済ジャーナリスト)

 同社ではこのシステムを導入後に、廃棄量が4分の1にまで減って食品ロスにつながり、かつ、機会損失も防げるようになったという。

 回転すしは、品数は多いがほぼ数量の決まったメニューが皿に乗って回るので、何がいつどのくらい手に取られたのかを計測しやすい。やはり“味”を考えれば寿司は円熟した職人の手が込んだ仕事に限るが、“商売”として考えた場合、実は却ってAIと相性が良い。

 くら寿司では、コロナ時代に見合った非接触型店舗の「スマートくらレストラン」で、AIによる画像認識技術を活用した自動カウントシステムも導入されている。回転すし屋のスマート化がいっそう進みそうだ。

(猫間滋)

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