「くら寿司」や「築地銀だこ」といった飲食チェーンが続々とインバウンドメニューを投入する。300万人を突破した訪日外国人を狙ってのものだが、その前に立ちはだかる強力なライバルがいる。
「くら寿司は4月25日に東京・銀座にインバウンド客向けのグローバル旗艦店をオープンしました。江戸の文化をイメージした映えスポットがあり、通常のくら寿司と比べると高額な1800円の『特上にぎり「蔵-KURA-」』なども用意されています。また、銀だこも24日から三越銀座で期間限定インバウンドメニューを投入。イタリアのトリュフ専門店とコラボした『香るトリュフのポルチーニソース』は2160円で提供されます」(フードジャーナリスト)
今年に入ってから、ニセコの観光施設で提供されている3800円ラーメンや豊洲「千客万来」で提供されている1万5000円の海鮮丼など、インバウンド価格のメニューが話題となっている。観光庁が発表した「訪日外国人消費動向調査」によると、24年1月~3月期の旅行消費額は1兆7505億円で、コロナ禍前の19年と比較しても1.5倍増。この外国人観光客の旺盛な消費意欲を狙ってインバウンドメニューを投入するところも増えているわけだが、一方で思うようにお金を落としてくれないと嘆く飲食店も少なくないという。その理由は、コンビニの存在にある。
「インバウンドメニューを提供する飲食店にとって、外国人がコンビニを好きすぎる問題が実は大きな壁となっているのです。東京五輪の開催中には多くの海外メディアの記者がSNSに日本のコンビニを絶賛する投稿をして話題となりましたが、外国人にとっては安くて美味しく、どの時間に行っても食べられるコンビニグルメは、『クレイジーなほど素晴らしい』と絶賛されている。例えば、タイに行けば多くの観光客が屋台グルメを楽しむように、日本ではコンビニが一つの観光スポットとなっており、朝昼晩3食コンビニグルメで良いという外国人もいるほど。そのため、なかなか飲食店にはお金が落ちないという状況もあるのです」(同)
外国人観光客の増加でインバウンドをターゲットにした飲食店は潤っていると思いきや、意外と苦労しているところも多いようだ。
(小林洋三)