コロナ禍に暗躍する偽造ビジネス最前線「OLはニセの学生証でピンク嬢に」

「転職のために有利になると思った」

 10月26日、大阪府門真市に住むインドネシア国籍の男が、運転免許証を偽造したとして、有印公文書偽造の疑いで逮捕された。男は今年7月ごろ、中国籍の男(在留カード偽造の罪ですでに逮捕・起訴済み)に、SNSで運転免許証の偽造を依頼。ガサに入った警察がこの男のパソコンを調べたところ、インドネシア国籍の男に関するデータを発見し、逮捕となった。男は冒頭の供述のように、容疑を認めている。

 偽造犯罪に詳しいジャーナリストが言う。

「今回のケースは日本に住んでいる外国人が、日本在住の『道具屋』に依頼したことで発覚して逮捕となりましたが、ここ数年、身分証の偽造は、その大半が海外のサイトに依頼して、国際郵便で届くというパターンが多い。料金もネット上で番号を入力するだけのウェブマネーで支払う仕組みになっているため、なかなか金の流れがつかめない。さらにサイト表記は日本語なのですが、警察がサイトに対しIPアドレスやアクセス状況を照会しようとしても、サイトのサーバが海外にあるため、捜査を円滑に進められないばかりか、サイト運営者の特定にも至っていないケースが多い。ネット上では『偽造免許作ります!』を謳い文句にした『道具屋』によるサイトが野放しになっているのが現状なんです」

 たしかに、ネットを覗いてみると、あるわあるわ……「運転免許証偽造」に始まり、「卒業証明書偽造」、「学生証偽造」、「住民票偽造」、「資格証明書偽造」と、その種類は多岐にわたり、なかには、「診断証明書偽造」、「危険物取扱者免状偽造」まで請け負うサイトもあって、驚くばかりだ。

「しかも、最近は新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、それを補填するためにピンク産業に流れている女性も多い。ただ、彼女たちは余計なトラブルを避けるため、できれば店側に個人情報を知られたくない。そんなこともあり、多少お金がかかっても個人情報を守るために、このテのサイトを利用するケースが急増しているようです」(前出・ジャーナリスト)

 免許証の偽装相場は最低10万円だが、卒業証明書や学生証になると、最低15万円からと少し割高だ。

「やはり、付加価値とでもいうのでしょうか、〇〇の大学に在籍している、あるいは、ここの大学を卒業している、というのは売り手として相手を信用させる材料になりますし、それなりのアピールになるはず。実際、私が話を聞いたOLは、有名私立大学の学生証を偽造し、現役女子大生を騙ってピンク店で働いていました。年齢を5つサバ読んでいたものの、やはり面接の際には、大学のブランドがモノをいったといいますからね。作る側もそういった事情を知りつつ、値を吊り上げているのかもしれません」(前出・ジャーナリスト)

 とはいえ、ある特殊詐欺グループの事件では、道具屋から不正に入手した携帯電話を悪用して偽造運転免許証を量産。それらが犯罪ツールとして悪用される手口もあった。

「いくらネットで簡単に注文できるからと言って、発注すれば受け取った側も有印公文書偽造で逮捕されるということを忘れないこと。しかも、そういった偽造免許証が他人の手に渡って大きな犯罪に悪用されれば、さらなる余罪を追及される可能性もあります」(前出・ジャーナリスト)

 海外にサーバが置かれていても、日本の警察のサイバー犯罪捜査は日々進歩している。いかなる事情があっても、身分証の偽造などには関わらないことだ。

(灯倫太郎)

※写真はイメージです

ライフ