現在、政府がすべての入国者を対象に行っている自宅やホテルでの2週間の待機措置。コロナ感染拡大防止のための対策のひとつで、同様の措置を取っている国は非常に多い。
だが、世界的に緩和の方向にシフトしつつあり、日本でも駐在員や海外出張からの帰国など商用目的の場合に限られるが、解除する方向で調整中(10月13日現在)。10月中に正式決定すると見られている。
確かに、感染拡大のリスクと水際対策を考えれば仕方のないこととはいえ、約半月も外出ができないのは難儀な話だ。そこで、9月に出張先のタイから戻ってきた機械メーカーに勤める30代の男性に帰国後の空港での検査の流れ、その後の14日間の隔離生活の様子について聞いてみた。
「空港到着後、体調や過去2週間以内の訪問先、連絡先などを記入した書類を渡すと、容器を渡されるので採取用のブースで唾液を入れて提出します。結果が判明するまで2〜3時間かかるため、それまでは指定された空港内の待合スペースで待機します」
ただし、検査結果が陰性だったとしても公共交通機関を使って自宅やホテルに行くことは認められていない。そのため、家族に車で迎えに来てもらうか、交通手段がなければ検疫所の巡回バスで向かうことができるホテルなどに宿泊する形になる。
「私は埼玉に住んでいる兄が車を持っていたので迎えに来てもらい、都内の自宅マンションまで送ってもらいました。ただ、帰宅しても独身なので冷蔵庫はカラッポ。外出NGなので近所のコンビニにも行けず、ネットスーパーで食料や飲み物、日用品を注文しても届いたのは帰国の翌々日。帰国初日、自宅に戻れたのは夜で、デリバリーを頼もうにもウチは都内でも少し郊外にあるため、すでに営業を終了している店が多く、結局食べずにそのまま寝ました。帰国2日目にウーバーイーツを頼むまで食事を取れなかったのが大変でした(苦笑)」
ただし、待機場所が自宅だったこともあり、そこまでは不自由を感じなかったとか。
「録画したままずっと放置していたドラマやバラエティ番組、YouTubeなんかを観たり、久々にゲームで遊んだりしていたら思いのほか時間を潰せました。もともとインドア派なんですけど、これまでは仕事が忙しくてなかなかゴロゴロ過ごすこともできなかったんですね。そういう意味ではいい気分転換になりました」
彼のように半ば強制的な措置だったとはいえ、隔離生活を満喫している人も案外多いのかもしれない。
(高島昌俊)