「いきなり!ステーキ」大量閉店、不振の理由はカリスマ社長の経歴にあった!?

 7月3日、ペッパーフードサービスは運営する飲食チェーン「いきなり!ステーキ」などの114店舗の閉店と、「ペッパーランチ」を運営する子会社の株を全て売却することを発表した。同時にさらにアメリカ進出の基盤となっていた子会社の破産申請も行った。「いきなり!ステーキ」の躍進劇からわずか数年、なぜここまでの状況となってしまったのか…。飲食業界に詳しい業界紙記者に話を聞いた。

「『いきなり!ステーキ』の急激な拡大路線が裏目に出てしまったというのが通説です。もちろんそれも大きな要因のひとつとは思いますが、私は一瀬邦夫社長の経営姿勢も少なからず影響を与えたと感じています。一瀬社長はナスダック上場当初は『カリスマ経営者』ともてはやされたものの、今年3月に放送された経済番組『カンブリア宮殿』で、『自分の食べたいものをお客さんに売る』と語り、すかいらーく創業者の横川氏から“自分本位”の経営姿勢についてダメ出しをされていました。拡大路線を取る起業は現場の管理と教育を徹底するもの。拡大期には特に重視されるべきポイントですね。しかし、一瀬社長の頭の中では、いまだに古い徒弟制度的な厨房のイメージを抱いているのでしょう。現場のベテランが質を管理して見習いがその中で育っていくので、本部はあれこれと細かい指示を出さなくても、客は支持し続けてくれるという思い込みがあったのかもしれません」

 その真偽は不明だが、就職関連の口コミサイトには、「いきなり!ステーキ」に勤務した経験があると思しき人たちのこんな声が……。

《未経験で入社したにもかかわらず、社員からの説明はあまりなく、ベテランの学生アルバイトのやっていることを真似するような感じでした》

《無計画な大量出店の影響が大きく、店舗に対して社員の絶対数が不足。それでも出店する為、人材育成が疎かになってしまったのかも…》

《店舗ごとで、やり方が全く違うし、同じ店でも上司によってやり方が違ってくる》

 現場では人材不足や、ある意味、職人的な育成スタイルが不安視されていたようだ。

「これは一瀬社長の経歴が影響しているかもしれません。独立する前は名門ホテルで厳しい修行を積んだ経験から、人が人を育てるという理念にとらわれすぎているのではないか、という指摘もあります。『一瀬より皆様へ』として、各店舗に貼られた社長直筆の張り紙などは、一部で不評をかっていますが、それよりも今回の閉店で不安に思っている従業員の声に耳を傾けるべきかもしれませんね」(前出・業界紙記者)

 とはいえ、以前にくらべて安く手軽に食べられるようになった「格安ステーキ文化」を広めた「いきなり!ステーキ」の功績は誰もが認めるところ。改善すべき点は改善して、この難局を乗り切ってほしい。

(オフィスキング)

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