「いきなり」vs「やっぱり」ステーキ戦争で見えてきた”卓上の差”とは

「コロナ禍にもかかわらず、ランチタイムになると行列ができています。とくに週末には家族連れも訪れるので1時間待ちも珍しくありません。オープンは昨年6月で、その際にも大行列ができていましたが、いかに多くのリピーターを確保しているかがうかがえます」

 フードライターが先日、訪れたのは「やっぱりステーキ 吉祥寺店」。この地は昔から営業してきた地元の名店に加えて、近年では人気ステーキチェーンがこぞって出店したことから“ステーキ激戦地”として知られている。

 その吉祥寺エリアで“勝ち組”と呼ばれる「やっぱりステーキ」の魅力はコスパの良さ。1000円(税込)のステーキを注文すれば、スープ、サラダ、ライスが食べ放題(※一部店舗によって異なる)とあって、そのお得感は「やっぱり」ならではと言われている。

「肉質などの違いはありますが、最大手の『いきなり!ステーキ』で同じ150グラムのステーキを注文すると850円。これにランチサラダ、ライス、スープのランチセット220円をつけると総額1070円になります。ステーキ愛好家の中には『ライスなんて食べない』という人もいますが、1000円でライスなどが食べ放題となると、どうしても『やっぱり』のお得感が際立ちますね」(前出・フードライター)

 もちろん、ステーキの好みは人それぞれ。また、店舗ごとの売上データが公開されているわけではないので、一概に優劣は付けられないが、ステーキを食べるうえで欠かせない“あるモノ”に関して、「やっぱり」が「いきなり」に勝っているポイントがあるという。

「卓上に置かれているソースや調味料の数です。『やっぱり』では、オニオンソース、和風甘だれ、醤油の他にシークヮーサーポン酢、刻みわさび、イタリアンロックソルトなどなど14種類のソースとスパイスを用意しています。これだけ種類が多いと、1回の来店ではすべて試すこともできず、結果的に『次に来た時にはアレをつけてみよう』とリピート意欲がかきたてられる。『いきなり』でも、複数の調味料が用意されていますが、ドレッシングを含めて10種類程度。肝心なのはそこに客の好みの味があるかということですが、こと、バリエーションという点においては、『やっぱり』に軍配があがっているという見方もできます」(前出・フードライター)

 かつて高級レストランでしか味わえなかったステーキは、良心的なチェーンの台頭によって、ぐんと身近になった。機会があれば、人気2大チェーンのステーキを食べ比べてほしい。

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