アプリを開発している企業が自社アプリの使用感をリサーチしたり、バグの存在をチェックするために、「テスター」と呼ばれる仕事が存在する。
日々、さまざまなジャンルで多数のアプリがサービスを開始しており、さらには公開後も新機能を追加する「アップデート」が繰り返されるため、世の中にスマホがある限り、なくなることのない業務だと言える。テストする側にとっては、好きな時間に自宅で実践可能なため、敷居の低さから人気を集めている。
そんな「アプリのテスト」の作業内容は、大別して二種類。指定されたスマホアプリを操作してアンケートに回答するだけの「アンケート型」と、一定時間、アプリを操作しているスマホ画面をデジカメなどで動画として撮影する「動画型」に分類される。
「アンケート型」の場合、文字どおりスマホ一つで完結する単純な作業だけに、支払われる報酬も比較的安価になっている。アプリをダウンロードしてから10分程度で実行できるものが多く、「画面の見やすさに関する評価」や「操作しにくい点」といった項目に回答し、報酬は100円から200円程度が主だ。
一方、撮影の手間がかかる「動画型」は高単価なものが多く、撮影30分あたり報酬3000円といった条件が一般的。撮影機器はデジカメの他、ウェブカメラや2台目のスマホでも可能だが、固定するための三脚も必要となる。また、多くの場合、撮影中は「常に感じたことを声に出す」とのルールが設けられているため、10秒以上の沈黙が続くと報酬が支払われないケースもあり、多少の緊張を強いられる。
スマホと撮影機器の操作が不得手でなければ気軽に取り組める「アプリのテスト」だが、どのようなルートで携わることができるのか。
最も一般的なのは、専用サイトへの登録。アプリ開発企業とテスターを仲介するサービス「UIscope(ユーアイスコープ)」の場合、会員登録すると「はじめてのお仕事」と題した模擬テストへの参加が可能に。この模擬テストの審査を通過することで、実際の案件が紹介される流れだ。
専用サイトの他、求人サイトやクラウドソーシングサイトでもテスターの募集が行われているが、アプリ業界に詳しいIT関係者はこう語る。
「悪質な業者も存在するので注意が必要です。信頼のおける専用サイト経由の仕事なら心配いりませんが、一部の求人サイトに掲載されている案件では『作業を終えても報酬の支払いが行われない』といった被害も報告されています。あまりに高単価な募集は警戒してかかるべきですね」
堅実にコツコツ…が肝心のようだ。
(もとおり・ひろゆき)