空いている時間に他人の人生相談に乗って収入を得る─―。今、人生相談を扱う国内初のマッチングサービス「アリューム」が話題を呼んでいる。
マッチングサービスとは「サービスを受けたい側」と「サービスを提供したい側」双方の希望条件を調整して、結びつけるための仕組み。これまで相談したい側にとっては人脈上のつながりか、占い師に依頼するしかなかった「人生相談」という分野にマッチングサービスが登場したことで、「相談に乗る仕事」の可能性が新たに広がったと言える。
例えば、10秒単位で「時間の売り買い」ができるアプリ「タイムバンク」や、個人の「特技」を売買する「ココナラ」といったサービスを介して認知されるようになった有料の人生相談。
これらのサービスではサイト上でアカウントを作成し、自身のプロフィールやセールスポイントを登録したあと、サービス運営側による審査を経て「人生相談の権利」として売り出す形を採用している。
前出の「アリューム」では、実地での直接面談を推奨しているものの、現在、多くのサービスで主流となっているのは「スカイプ」などの通話アプリを使ったオンラインでの相談。自宅にいながらにして実践できるのは、大きな強みだ。
ネット上では「どれぐらい儲かるのか」と話題で盛り上がっているが、はたしてその実態は─。
「漠然とした人生の悩みを普通に聞いてあげるだけなら、多くても月に1万円前後の稼ぎですね」
とは、各種サービスを活用して人生相談を請け負ってきた40代の男性経営者A氏である。続けてその現状を明かすには、
「法律相談などの専門性の高いものとは違い、人生相談は資格もいらず誰でもできてしまうため、相談希望者より相談を受ける側の人数が圧倒的に多いんですよ」
誰にでも務まる人生相談は、供給過多になりがちだ。
「たまに〝相談権〟が売れても、リピーターになってもらうのは難しい。ある程度の知名度を持つ有名人以外、人生相談で固定客がつくのはマレですね」(同)
こう聞くと、非常に厳しそうに感じるが、その一方で、
「自分だけの〝特殊な経歴〟を持っている人なら、一般人であってもひっきりなしに相談を受ける可能性があります」(同)
いったい、人生相談サービスでは、どのような経歴が求められているのか。
「私の知っている中では『7回の離婚歴を持つ人』だったり『借金1億円を抱えた経験のある人』がめちゃくちゃ人気を集めています。世間的なよしあしではアウトでも、くぐり抜けた経験の重みから、相談相手として重宝されているようですね」
マイナスの経験がカネになる副業であった。
(もとおり・ひろゆき)