アリゾナ州に30球団を集結させ、無観客でペナントレースを始めるというプランがあがっているメジャーリーグ。メジャーリーグ機構と選手会の間では、フリーエージェント(以下=FA)の扱いについても確認。今季、どれだけ試合数が減ろうと、FA年数の「1年」としてカウントすることになった。開幕に向けて着実に前進していると言えるだろう。
7年契約の最終年を迎える田中将大投手は、今オフの米FA市場の目玉投手と位置づけられている。まずはその前に残留交渉が行われる見込みだが、左のエース格であるジェイムズ・パクストンも今季で契約終了。ほかの補強費がかさみ、田中とパクストンの両方を残せないとなれば、故障の少ない田中を選択するだろうと予想されている。
「年俸も現行の2300万ドル(約23億円)から4000万ドル強と昇給するはず。仮に残留交渉が決裂し、新天地を求めるとなれば、6000万ドル台での争奪戦になるでしょう」(米国人ライター)
田中が高く評価されているのは間違いない。しかし、アリゾナ州でのペナントレースとなった場合、田中投手には今シーズン、一抹の不安材料が生まれるという。というのは、アリゾナ州は空気が乾燥しており、ホームランが出やすいとされているのだ。
打高投低となる条件は、どの投手も一緒。しかし、田中投手のピッチングは昨季から微妙に変わりつつあった。変化球・スプリットで三振が奪えなくなったのだ。2018年シーズンにはそのボールをウイニングショットとし、51%の確率で三振を奪ってきたが、昨季は24%にまで激減した。「19年シーズンから導入された新しい公式球に馴染んでいない」という米メディアの指摘もあるが、田中はスプリットを制御できず、高めのホームランボールにしてしまう場面も見られた。乾燥地帯のアリゾナ州なら、被弾率はさらに高まるだろう。
「昨季シーズン終盤からポストシーズンにかけ、田中はスプリットの握り方を変えるなどし、修正していました。今季、スプリットが通用するかどうか、真価が問われます」(前出・米国人ライター)
田中がシーズンオフに交渉を有利に進めるには、被弾率の高い乾燥地帯での試合はできるだけ避けたいところだが。
(スポーツライター・飯山満)