4月3日、プロ野球ペナントレースの開幕戦が「4月24日実施は無理。新たに設定するのは現時点では不可能」と発表された。
「おそらく、今季は143試合全てを消化できないでしょう。その場合、フリーエージェント(以下=FA)権の取得に必要な日数はそのままでいいのかどうか…」(球界関係者)
現在、FA権は出場選手登録(一軍登録)が国内FAは7年から8年、海外FAは9年で得られる。ルールでは「1年を145日と計算」となっているが、このまま5月下旬に開幕戦を迎え、ペナントレースが120試合程度となった場合、10月まで5カ月間しかないので、「1年」をカウントできるのは、シーズンを通じて一軍に登録されたごく一部となってしまう。たとえば、今季だけ日数削減の特別ルールを策定するとなった場合、経営陣と選手会が折り合える日数を見つけるのは並大抵ではない。
現時点で、NPBは試合数削減後の交流戦、クライマックスシリーズの開催方法、FAの特別ルールの必要性はわかっているが、そこまでは手が回らないそうだ。
そうなると、ニンマリなのが東京ヤクルトだ。今季、順調にペナントレースが行われていた場合、オフは山田哲人の大争奪戦になると予想されていた。もし、山田が負傷でもして一軍登録を外されたら、少なくなった試合数ではFA権取得の規定日数には届かなくなる可能性が出てくるのだ。もちろん、先発投手も同様だ。シーズン終盤戦に入って、リリーフ層を厚くするなどの理由で出場選手登録を外されたら、FA権に届かないという選手が出てくるかもしれない。
「先発投手では、中日の大野雄大が今季中に国内FA権を取得する予定。順位予想の限りだと、ヤクルト、中日を上位に置く解説者は少ない。若手起用の理由で投打の主力選手を外しても、ファンは違和感を持たないでしょう」(ベテラン記者)
果たして、今回の開幕延期がシーズンオフにどう影響するのか。
(スポーツライター・飯山満)