中国発「新型肺炎」で、韓国の旅行業界がノックアウト!?

 中国・武漢市で発生した新型の肺炎に、警戒の声が高まっている。WHO(世界保健機関)がヒトからヒトへの感染が起こりうると警告。中国当局ではすでに41人の感染を確認しているほか、日本でも1月16日に、武漢市に渡航していた男性から同肺炎ウイルスの陽性反応が検出されている。

「この新型肺炎は、02〜03年に猛威を振るったSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスとの類似性が指摘されています。SARSに関しては03年7月にWHOが封じ込め成功を発表しており、今回の肺炎はまったく同じウイルスではないはず。しかしSARSは動物からヒトに感染する“人獣共通感染症”なので、人間界では封じ込めに成功しても、自然界には亜種のウイルスが残っていた可能性があります。ともあれ中国への渡航ではしばらく警戒が必要なほか、タイやシンガポール、韓国でも感染の疑いが出ていることには留意すべきでしょう」(医療系ライター)

 SARSの際は02年11月から03年7月にかけてアウトブレイク(大規模感染)が発生。03年4月2日にはWHOが前代未聞の「渡航延期勧告」を行い、旅行業界を直撃した。とくにゴールデンウィークへの影響は甚大で、4〜6月の海外パック旅行は前年比で3〜4割減に。03年度上半期(4〜9月)の海外旅行取扱高は前年比4割減と大幅に落ち込み、中小代理店が倒産するなど、業界の損害は5000億円前後にものぼったと言われている。

「ゴールデンウィークのアジア行きフライトは軒並みガラガラ。なかにはここがチャンスとばかり、例年なら絶対取れないはずの特典航空券を確保して、格安のアジア旅行を楽しんだ猛者もいました。当時はちょうど『冬のソナタ』がNHK BS1で放送されており、韓流ブームが盛り上がり始めた時期でしたが、実際に韓流が盛り上がったのはSARSが収束した04年になってからだったのです」(トラベルライター)

 そのSARS騒動から17年経った今、またもや同様の騒動が起こるのか。もし今回、新型肺炎が猛威を振るった場合、とくに影響が甚大なのは韓国の旅行業界だというのである。

「いわゆる徴用工問題に端を発した日韓関係の悪化が原因で、韓国から日本への渡航者数は大幅に減少。しかし日本から韓国への渡航者数推移は意外にも堅調で、航空券の安さとウォン安による滞在費の安さが魅力となり、若い女性を中心に韓国旅行を楽しむ層が目立っていました。しかし新型肺炎が猛威を振るい出したら、彼女たちも渡航を自粛するのは確実。そうなると韓国旅行業界にとって大打撃となりかねません」(前出・トラベルライター)

 肺炎流行をものともしない猛者にとっては、今年のゴールデンウィークは絶好の韓国旅行日和になるのかもしれない。

(北野大知)

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